2017/12/13 Matsuri Session / Zazen Boys

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今年の10月、Zazen Boys吉田一郎の脱退を発表した。脱退に対しての個人的な感想は、驚きと悲しみが半分、納得とこれからの道筋への期待も半分といったところだった。

2015年に吉田一郎不可触世界名義で発表したソロデビュー作『あぱんだ』は、チルウェイブ(死語?)的な音像に、醒めた子供のような歪なラップがのっかった、"ベーシスト"という枠には収まりきらない才能がはっきりと表れている作品だった。『あぱんだ』とは"全集"といった意であるそうで、そのタイトル通りあらゆるアイディアを詰め込んだ作品は聴き手に少し散漫な印象を与えたかもしれないが、それと同時に一人のアーティストとしての可能性を多分に感じさせるものだったと思う。要するに吉田一郎ザゼンを抜けることは納得だし、楽しみでもあるということです。

 

しかし同時に吉田一郎が抜けたザゼンがあまり想像できないなぁというモヤモヤした思いは胸に残り…。その思いを抱えたまま最後のライブを見届けた。

 

Zazen Boysはこれまで2度のメンバー変更を経験した。1度目はDr.のアヒトイナザワの脱退に伴う"柔道二段"松下敦の加入(2005年)。2度目は"町田のヤンキー"ことBa.日向秀和の脱退に伴う吉田一郎の加入(2007年)であった。この10年間で吉田一郎Zazen Boysのサウンド面にどのような変化をもたらしたかについては、スタジオアルバムは勿論だが、ライブ録音によってよりはっきりと伺い知ることができる。

 

日向秀和期のライブ音源として秀でているのはMATSURI SESSION LIVE AT YAON(2006年)だろう。アヒトイナザワの手数の効いたドラミングに代わり、松下敦の一音一音のドスのきいたドラミングがバンドに馴染んだ頃の録音で、日比谷野外音楽堂ならではの会場の開放感と高揚感がパッケージングされたようなとても素晴らしい作品だと思う。個人的にはこの作品が前期ザゼンボーイズの集大成的作品だと思うが、現行の体制に比べると松下敦のドラムスの上を各楽器のフレーズが流れるような印象を受ける。

 

吉田一郎松下敦の音が邂逅したこれ以降の作品から後期ザゼンボーイズの幕は明け、明確にバンドの目指す方向性に合致する形でサウンドも変容していく。初期はスタインバーガーのヘッドレスベースを、後期はサイケデリズムのジャズベースを使用していた吉田一郎のサウンドは、松下敦の重いドラミングを真正面から受け止める強さを持っていた。吉田一郎のプレイは執拗なまでに反復されるフレーズの中で左手を使ってサボれるフレーズでも、全て右手でピッキングをする実直なものだが、そのフィンガーピッキングの音は加入当初から松下敦のドラミングに呼応してほぼスラップのそれに近いようなかなり硬質的でパーカッシブな響きを持っていた。

松下敦吉田一郎のプレイ在籍時のバンドの変化と円熟はLive At Fukuoka Omuta Fuji(2014年)で味わうことができるが、曲間に向井秀徳が入れる唐突なブレイク(…?あのジャッ!ってやるやつ)の"一撃で殺す"感じは前期にはない圧倒的な強みだったと思う。向井秀徳がシーンに呼応しながらKimonos(Talking Heads的なプリミティブな反復性があって聴いててめっちゃ気持ち良い。)等の活動をバンドに還元しつつ、音楽のリズムを突き詰めていく中で、一撃の重さみたいなものが求められるのは当然の話で、そう言った意味ではこの10年間でバンドを進化させた、というかバンドの潜在的な可能性を引き出したのは吉田一郎松下敦リズムセクションだったように思う。

 

前置きがグダグダと長くなったが、ここからライブの感想を書く。Fender Telecaster→RIFF MANという鬼のような流れで始まったライブだが、その時点でメンバー全員の顔つきがいつもと全く違うと感じたことが印象に残っている。バンドという一つの塊が消えていく、その虚しさと哀しさがメンバーの顔にハッキリと表れていたように思う。確実にあの会場には何か姿の見えないものが死んでいく空気が充満していたし、その雰囲気を真摯に抱えたまま進行したライブだからこそ、今まで見たザゼンの中でも一番にカッコ良いライブだと思った。

今回のライブは曲間のアレンジが最小限に抑えられていて、その点も印象的だった。ザゼンボーイズのライブはツアー毎に今までの楽曲が解体/再構築されていく。毎回生まれ変わったように新鮮な驚きを与えてくれる昔の曲群が、今回は音源とほとんど変わらない形で提示されていたように思う。個人的にはその立ち返りが、バンドの原初の姿への回帰に感じられてよりグッときてしまった。もはや先も少ない、この4人で鳴らす音への集中と自信がステージには漲っていた。向井秀徳がほとんどの曲の前で、次に演奏する曲名を告げるようなMCをしていた。

ライブ終盤、自問自答を始める前に向井秀徳吉田一郎ザゼンを抜けることを改めて発表し、吉田一郎の方を振り返らずに「ようやった!」と声をかけた。その後に始まる「自問自答」は今まで見た、聴いたどの自問自答よりもカッコよかった。吉田一郎がカッティングしながらラップする向井の後ろ姿をずっと見ていた。カシオと松下敦は微笑むような表情で吉田一郎を見ていた。

 

今回の開場後のSEはずっとLed Zeppelinが流れていて、豊洲ピットの広さも相まってステージセットがグッと纏まっているように見えた。「袈裟(法被?)を着たツェッペリン」というのは向井が自身のバンドを例えた言葉みたいだけど、僕の中で吉田一郎さんのいるZazen Boysは本当にビートルズツェッペリンみたいに、「この4人でなければ意味がない」と思わせるような唯一無二のすごくカッコ良いバンドでした。本当にありがとうございました。これからのZazen Boys吉田一郎の行末に幸あれ!

 

年間ベストアルバム(2017)

今年は本気で気に入ったアルバムが50枚超えてたので、ベスト50で選びました。アルバム一枚につきちょいちょいコメントみたいなん入ってますが、備忘録程度のちょこっとしたもんなので、批評的価値は0です...。読んで下さった方が一枚でも知らないアルバムを気に入ってくれたら、いつもの恩返し的な感じになって最高だなと思います。

 

50.Taster / Hovvdy

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 オースティンのドリームポップ、ベッドルームポップデュオHovvdyの1st。SparklehorseやらPedro The Lionを思わせるような内省的でミニマルな音作りが個人的に超ツボで、聴きまくった。アルバムを通してあまりに小粒な楽曲が並ぶ印象で、トータルとして山場があまり感じられないからこの順位だが、愛すべき小粒感というか、まぁ山場とか特にいらないよね、人生にも山場ってそんなにないもんね、みたいな感じになってしまう哀愁のあるユルさ。来年の一月だか二月に新譜出るみたいで、そっからの先行トラックも良いんだ...。俺はお前らのことすげぇ好きだぞ。

Hovvdy - "Problem" (Official Music Video) - YouTube

Hovvdy - "Petal" (Official Video) - YouTube

 

49.Nightmare Logic / Power Trip

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音が鎌首の頃のPANTERAっぽくて良い。「最近音楽がどんどんビート重視になってくけども、PANTERAのモスクワでのライブ映像を観ながら、ダレルと一緒にヨダレを垂らしたあの頃の気持ちも、アタイは忘れたくないよ。」そんなあなたにこの一枚。8曲33分で一緒に首を痛めよう。Vo.がハードコア畑から出てきてる感じがするのがメタルメタルするだけで終わってなくて好感持てる。

Power Trip - "Firing Squad" - YouTube

 

48.Care / David Bazan

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Pedro The LionのDavid Bazanのソロ4作目。今作はほぼドラムマシンとシンセで曲が構成されてて、最初は物足りないなぁなんて思っていた。しかしよくよく聴きこんでみるとシンセの音も無機質なフリして温かいし、リズムとシンセフレーズがシンプルだからこそVo.から哀愁が伝わってくるなぁと改心。何よりこの人の声と歌メロ本当に好きだなぁ。Pedro The Lionの再結成も楽しみ。

David Bazan - Care - 01 Care - YouTube

 

47.Elektrac / Shobaleader One

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スクエアプッシャーが自身のキャリアをバンドで再現するという、トンデモ盤。このアルバムがこの順位である理由はたった一つ。実際観たライブがえげつなかったので音源だけで満足出来ないカラダになってしまったのだ...。人は脳の処理能力を超えることを眼前で繰り広げられると、爆笑してしまう生き物なんだと知ることができたので、今年はまた一つ賢くなれました。スクエアプッシャーのベースは言わずもがなだけど、ドラムの人上手すぎねぇかホントに。あんなにピッチの高いスネアでグルーブのツボを北斗神拳ばりについてきて悶絶。下のリンクのライブ映像で五感を侵略されてくれ…。

Shobaleader One - Boiler Room In Stereo - YouTube

 

46.A Deeper Understanding / The War On Drugs

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アトランティックレコード移籍後第一作とだけあって、大陸的なスケールが増した印象。音もすごく気持ち良い。ただ個人的にはこのアルバム、聴き始めた当初は微妙にしっくりこなかった...。曲の中のクライマックスの迎え方として前作のギターでグイグイ牽引していく感じが好きだった分、今作のウワモノがガッツリ足される壮大な感覚にビックリしたのと、その分リズムパターンが抑え目になった点が聴いててムズムズした記憶。恐らく前作が好きすぎてそのイメージを捨てきれていないんだろう。力まず聴けるタイミングまで置く。しかしアメリカのシーンってこういう音楽性のバンドがブレイクしてスタジアム級になるんだもんなぁ〜〜すげぇ羨ましいなぁ〜〜

 

45.Post Self / Godflesh

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 インダストリアルメタルの重鎮の8作目。Post Selfというタイトルが示す通り、これまでの音像を更新するような意欲的な作品だと思う。別プロジェクトのJesuで聴くことのできるような解けるようなギターの歪ませ方もチラチラと伺わせつつ、基本的にはエグい塊を転がし続けるみたいな音像なんだけど、不思議と心地良く聴けるから不思議。ポストメタルにありがちな音の豪雨をただただ浴びさせられる系にまではいかず、ちゃんとノレるグルーヴが保持されてるのもすごく良い。

Godflesh - Post Self - YouTube

 

44.Vu Ja De / 細野晴臣

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 細野さんの新譜はとにかく音が良くビックリした。オールディーズのカバーが中心の一枚目とか聴くとそれぞれの楽器の録音の良さに本当に驚く。個人的に良い録音って「その空間に残された余白も録ってる」っていう感じを受けるんだけど、今回はまさにそれだなぁと思う。Vu Ja Deというのは「今まで当たり前と思っていたものが、全く違うものに感じられる」みたいな意味らしい。確かに昔の楽曲が今の音響機材や感性をもって鳴らされているだけで、こんなにも新鮮で面白いもんなんだなぁと感動。

 「Susie-Q」at 岩手公会堂 ~細野晴臣“リリース記念ツアー”スペシャルムービー企画「昨日の1曲」 - YouTube

 

43.Beast Epic / Iron & Wine

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 Iron & Wineの新譜は夏の終わりにピッタリだった。広島から東京に帰る新幹線で、窓の外を見ながらこのアルバムを聴いたことをよく覚えている。すごく良い時間だった。この音楽の風景との親和性はすごく高いと思う。調べてみるとIron & Wineはサースカロライナ州やフロリダ州で育った人らしい。500日のサマーの監督が撮ったGiftedという映画でも誰もいない砂浜とか、まっすぐな地平線に落ちて行く夕焼けとかフロリダ州の自然がすごく印象的に映されていたけれど、歌声やサウンドの先に自然との融和を感じさせて、それが国境とかものともせず日本に住む自分に響いてくるのはすごく良いなと思います。

Iron & Wine - Call It Dreaming [OFFICIAL VIDEO] - YouTube

 

42.Damage and Joy / The Jesus and Mary Chain

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もはや伝統芸能。このアルバムの毒にもならず、薬にもならない感じが一周回って愛らしい。音楽性に進化も深化もあったもんじゃないし、懐古アルバムと断じられても何の反論の余地もないんだろうが、「Always Sad」とか「Can't Stop The Rock」とかいう曲名をファンがニヤニヤ迎えるバンドって他にいるのかなとふと思う。「なんか楽しそうだし、良いんだからよくね?」くらいの温度でダラダラ聴こう。

The Jesus And Mary Chain - Always Sad (Official Video) - YouTube

 

41.Out in the Storm / Waxahatchee

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個人的にこの人の曲を聴くとスーパーカーを聴いてるときみたいな爽快感を味わえるので良いなぁと思う。前作は曲と曲の間のクオリティが乖離しまくってた記憶があるが、今作はアルバムとして一本の流れを感じる。Julien Bakerもそうだけど、声量のある女性Vo.って多少サウンドが抑えになる局面があっても安心して聴けて良い。

Waxahatchee - Silver (Official Music Video) - YouTube

 

40.Together At Last / Jeff Tweedy

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WilcoのJeff Tweedyの弾き語り盤。このアルバム、一枚で二度美味しいのは「Wilcoのあの曲って意外とこんなにシンプルなのね」という楽しみ方も出来るし、「逆にこんなシンプルな曲があのアレンジでああなんの?」という楽しみ方も出来るのだ...。まぁそんな当たり前のことは差し置いても気の良いおじちゃんが部屋で唄聴かせてくれるくらいの脱力感で聴けるのでオススメ。

Jeff Tweedy - "Laminated Cat" (Live at Solid Sound) - YouTube

 

39.Ty Segall / Ty Segall

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 Ty Segallがここにきて自身の名を冠したアルバムをリリースしたこと自体になにかクるものがある。タイさんの一連のプロジェクトで一番カッケェと思ってたのはライブ盤以外だとFUZZの1stなんだけど、今作はそれを超えてきた。Break a Guitarのリフに拳を突き上げ、Warm HandsのBlue Cheer的なゴチャついた展開に完全にやられた。Talkin'みたいな穏やかな曲も混ぜつつ、基本的にはリフで引っ張って行く姿勢も潔すぎて痺れる。そういえばこのアルバムもアルビニ録音か。

Ty Segall & The Freedom Band - Warm Hands - Slab Sessions @Pickathon 2017 S03E03 - YouTube

 

38.Lemon Cotton Candy Sunset / Richard Edwards

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近所のレコード屋さんのポップを見て買った。プロデューサーはElliott SmithBeck、Kurt Vile等を手がけた方だそうな。聴いた感じでいうと昨年のAndy ShaufやJohn K. Samsonあたりの作風に近い。三年間の闘病生活の間にバンドも結婚生活も失ったらしいが、鬱々しい印象はあまり感じさせない。曲単位のパンチの弱さは否めないが、アルバム単位で聴いているとすごく感動的。時折曲の間に挿入される子供の笑い声とか女性の声の意味が分かればもう少し深くこのアルバムを聴けるのにと思う。

Richard Edwards - Lil Dead Eye-d (Official Audio) - YouTube

 

37.Urbs In Horto / Twin Peaks

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Twin Peaksのライブ盤。良い意味でおバカなバンドが大好きなので、ドツボに嵌った。自分たちの音楽が大好きそうなのも本当に癒される。もうバンドという形態も時代遅れな感じがする中で、しっかりメンバー全員楽しそうに演奏してくれるだけで好きになってしまう。ライブ音源だけでもその楽しそうに演奏してる様子が伝わってくるし、それに応えるオーディエンスの歓声もスゲェ。

個人的にこのバンドからはLibertinesに似た空気を感じるんだ…。フロント3人が取っ替え引っ替えVo.を担当するのも飽きなくて良いなと思う。マジでこのバンド入りたい。

Twin Peaks - Wanted You - Live From Lincoln Hall - YouTube

 

36.Drunk / Thundercat

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変態ベーシスト監修の爆裂AOR。普通に考えたら好みが真っ二つに分かれそうなことをやってると思うんだけど、そのキャラクター含めて圧倒的な支持を獲得していてスゴイ。アルバムは全編通して80年代ライクなテイストなんだけど、そりゃここまで弾いたら時代とか関係なくカッコ良いわと思う。Uh Uhとかどういう発想で弾いてるのか本当に謎。あのフレージングが頭で考えたものだったらどうかしてるし、手癖で出てくるようでも頭おかしいと思う。ライブを見ることができなかったの、一生後悔してる。

Thundercat - Them Changes - Later... with Jools Holland - BBC Two - YouTube

 

35.Strange Peace / METZ

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3枚目はアルビニ録音の好盤。このバンドのリフ結構変わってて好き。筋骨隆々な男が脱臼してるみたいな、違和感のある妙な展開をリフの中に感じるので何回反復されても飽きなくていい。ライブの様子も必然性を感じさせるパフォーマンスがすごく良い。リアムも褒めてて意外に感じた。

Metz Raw | Raw Materials | First Play Live - YouTube

 

34.Migration / Bonobo

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冬に合うテクノは最高。新年早々のリリースにもかかわらず、フジやら単独公演決定やら、一年通して話題に事欠かなかったのは作品自体の持つ力の証明だと思う(なぜ東京公演がFJMと被ってしまったのか…)。アルバム全体に流れる澄んだ空気がすごくスマート。バンドセットのライブ映像たまらなく良いな…。

Bonobo "Kerala" / Live at Fuji Rock Festival '17 - YouTube

 

33.This Old Dog / Mac DeMarco

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Mac DeMarcoの新譜はグッダグダな泰安洋行といった感じで、夏の夕方からビールを飲むのに最適。このアルバムは前作に比べると曲の作りもグッと簡素(あれ以上簡素というのもスゴイが…)になっていて、その分リズム重視になってると思う。今までも公言していたエキゾチカ〜細野晴臣トロピカル三部作あたりの影響が最もはっきり出た作品なんじゃないか(ジャケットにYMOが隠れているのも良いですよね)。年明けの単独公演も楽しみ。アンコールでの騒ぎも想定済みなので今度は大丈夫だろう。

Mac DeMarco - Dreams From Yesterday (Live on KEXP) - YouTube

 

32.2 Tone / 蓮沼執太&U-zhaan

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このアルバムは聴いててすごく「新しい!」と感じた。デジタル、アナログ問わず様々な楽器が用いられる中、ユザーンのタブラがこんなにも有機的に響くのかと驚いた。リズム楽器としてもリード楽器としても活躍していく万能さが個人的にすごく意外で新鮮だったので繰り返し聴いた。蓮沼執太とユザーンだけでも面白いのに、客演に坂本龍一、Deventra Banhert、Arto Lindsayを招いてるめちゃくちゃ豪華な一枚。

蓮沼執太 & U-zhaan - Green Gold Grey feat. Arto Lindsay (Official Video) - YouTube

 

31.You're Not as ___ as You Think / Sorority Noise

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EMOという括りの曖昧さを脇目に、大股で自分たちの道を進んでいく会心の新譜。刻むイントロからサビで跳躍する「No Halo」を筆頭にアルバム通してダイナミクスのレンジが広くてものごっつテンション上がる。9曲28分と尺が短い中で、起伏に富んだ展開で駆け抜ける一枚なので悪いワケがないんだ。

Sorority Noise (Session #3) - "Leave The Fan On" / "No Halo" / "A Better..." Live at Little Elephant - YouTube

 

30.Just Another Diamond Day / Mutual Benefit

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今年Turntable Kitchenというレーベルから出てた一連のカバーアルバムの中からの一枚。他にはYumi ZoumaがOasisのモーニンググローリーを、デスキャブのベンがTFCのBandwagonesqueをカバー。すごく面白い企画だったと思うが、やはり元のアルバムがどれも名盤中の名盤なのでなかなか難しいんだろうなと邪推。三作の中で最も原作を消化して自分のものにしていたのはMutual Benefitだと感じた。柔らかく優しい音作りは元のアルバムにすごくマッチしていて、そこにアンビエント的な新しい響きも加わっているので単なる企画ものの域をゆうに超えていると思う。うちのお母さんも気に入ってた。

Mutual Benefit - Diamond Day (Vashti Bunyan Cover) by Turntable Kitchen | Free Listening on SoundCloud

 

29.Nostalgia / Okada Takuro

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森は生きているの岡田拓郎の初ソロ作。アルバムリリースにあたって柴崎祐二さんが記したコラム以上の文章は書けないが、とにかく岡田拓郎の詞と音楽が再び表舞台に戻ってきたことに乾杯したい。

Okada Takuro - Amorphae (Feat. Mifune Masaya) - YouTube

 

28.Crack-Up / Fleet Foxes

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良ジャケ。Fleet Foxesの作品って圧倒的なコーラスワークをはじめとして壮大な音像に身を任せられて堪らなく好き。今作が更に素晴らしいのは、前作までの「ちょっとこのスケールのデカい感覚にも慣れてきたな」みたいなダレ場を全く感じさせない展開にあると思う。どなたかが今作はRadiohead的だと仰っていたのを聞いてなるほどそうかと納得した。恐らくまだ全容掴めてないので、ライブまでに聴きこみまくる!

Fleet Foxes - Third of May / Ōdaigahara (Lyric Video) - YouTube

 

27.ar / 吉田ヨウヘイgroup

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活動休止の時期を経てリリースされた4枚目。1月に「分からなくなる前に」のMVが公開されてから新譜に対しての期待値がものすごく上がっていたが、良い意味で裏をかかれるような作風。これまでのYYGのイメージは、西田さんのマスロック的なフレーズに、プレーンな歌声が乗る、その不思議なギャップがフリージャズ的な要素も相まって妙なデカイ塊となっているといった感じだった(何を言ってるんだか…)。今作は地に足がついたという表現が合っているか分からないが、とにかくバンドが自然体であることを真っ先に感じさせる。「多分次作がもっとハンパないことになる」と俺の中の俺が告げている。

吉田ヨウヘイgroup - トーラス - YouTube

 

26.Lotta Sea Lice / Courtney Barnett & Kurt Vile

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観音開きのレコードなんてアタイ初めてだよ...。このアルバムについてはOver EverythingのMVが公開された時点で勝負あり!みたいな感じだった…。本当に「楽しそう」という感想が第一で、そこにくっついてくる批評的な目線はもう野暮だと思ってしまう。ライブ映像を漁ってみるとまぁ予想通りラフというか、気ままに演奏しているんだけど、テイクによって曲の響きが結構変わってて引き出しの多さにビックリする。

Kurt Vile and Courtney Barnett - Over Everything (Live on The Current) - YouTube

 

25.The Ooz / King Krule

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昔から怖い音楽は苦手だったが、久しぶりに得体の知れないものに出くわしたと感じさせられたのがKing Kruleの新譜。22歳の若者が何を聴いていればこんな音楽を生み出せるのか…。その不気味なまでに深いルーツを辿ってみたいなぁと思わせる、めちゃくちゃクールな一枚だった。このアルバムに関しては多分まだ入り口に立っただけで、怖くて中に進めてない感じが拭えないのでベストに入れるのも烏滸がましいですが…ちゃんと聴き込んで枝分かれする要素も掴みたいです…。

King Krule - Dum Surfer - Later… with Jools Holland - BBC Two - YouTube

 

24.Impermanence / Peter Silberman

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アンビエント調のギターにのせて、しっかり祈るように歌ってくれる一枚。この"祈るように"という要素ってめちゃくちゃ大事だと思う。なんかワケのわからんこともある生活の中で、真剣に何かを祈ることの大切さよ…。アルバム後半、Ahimsaという曲で繰り返し唄われる"No Violence Today"という歌詞には「いやもう本当にそれな〜!?」と俺の中のギャルも完全同意。

Peter Silberman - "New York" - YouTube

 

23.Sounds That Escaped / Mikael Lind

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昨年出たEPに引き続き、音が"降ってくる"感覚のアンビエントで完全にノックアウトされた。曲の中盤以降に訪れる"ジリジリ"したノイズがこの世とあの世の繋ぎ目をこじ開けてるみたいな音ですごく好き。今はデジタルでのリリースのみらしいけど、反響次第でフィジカルリリースするみたい。今年は眠る前にグレングールドのブラームス間奏曲集とこのアルバムをよく流していたんですが、いずれも安眠できるのでオススメです。あと無印良品のパジャマもオススメ。すっごい楽。

Sitting Down Looking Up by Mikael Lind | Free Listening on SoundCloud

 

22.Cigarettes After Sex / Cigarettes After Sex

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 ここまで引き算に徹したドリームポップって意外となかったんじゃないか。音数を限りなく絞ってるおかげで、ベースのコード感だけで全体が支えられる。中高域はVo.とギターのアルペジオ、シンセを重ねるだけの展開なのに聴いててこんなに心地よいのは何故だ。中性的な響きを持ったVo.の声もすごくクールだと思うし、モノクロームで統一されたバンドのイメージもミステリアスさを感じさせる。割とどこを切っても同じような金太郎飴アルバムだと思うが、良いもんは良い。

Snapshots | Cigarettes After Sex - Affection, Apocalypse, live @ La Maroquinerie – ARTE Concert - YouTube

 

21.Turn Out The Lights / Julien Baker

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Matadorからのリリース!「哀しみの」とかいう枕詞が沢山ついてまわってることからも分かるけど前作より悲痛な印象を受ける。「Appointments」の後半とか「割れちゃうよ...!?」ってくらい声張って歌ってくれるのすごく良いです。ライブ映像見れば分かるけど足元のルーパーで音重ねて楽曲展開させていくので基本的な楽曲構造自体はシンプルなんだけど、ここまで惹きつけられるのは歌声の力なんだろうな...。

Julien Baker - "Appointments" (Official Video) - YouTube

 

20.Last Place / Grandaddy

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今までまともに聴いたことなかったので、このアルバムが初めてのGrandaddy体験だったが、カムバック作とか関係なしにめちゃくちゃ音も良くてユニークで、本当にカッコいいと思った。バンドの復帰作って昔からのファンの方にとっては嬉しさ半分、不安半分みたいな感じなんだと思うけど、全くフラットな立場で聴いたワタクシが感動したんだから、昔からのファンの人も納得するような作品だったのではないだろうか...(オマエがナンボのもんじゃいと言う話だが...)。

Grandaddy - Way We Won't - YouTube

 

19.FIRE / トリプルファイヤー

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自分の中で年間ベストの順位とか特にこだわりはないんだが、トリプルファイヤーの新譜だけは「いやもうちょい上だな…」みたいな感じでズルズルとここにきた。試聴機でこのアルバムを聴いていて、「中一からやりなおしたい」でベースが3拍子から4拍子に切り替わり、Aメロに入った瞬間購入を決意。Aメロのベースリフがカッコ良すぎないか…?歌詞も今までの作品に比べてかなりシリアスな響きになっていると思う。というか社会に対する行き詰まり感の吐露に共感できるようになった。本作はパーカッションのシマダボーイの活躍もあってかなり肉感的だし、音源のPANの振り分けも結構極端でかなり聞き応えがある。

トリプルファイヤー「SEXはダサい/銀行に行った日/カモン/野球選手になるために」@渋谷 TSUTAYA O-nest - YouTube

 

18.Carrie & Lowell Live / Sufjan Stevens

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2年前に出た名盤『Carrie & Lowell』の再現ライブ盤。音源はその年のベストに選ぶくらい好きだったので、ライブ盤ももちろん好んで聴いた。スフィアンが今年出したPlanetariumの内容もすごく良かったんだけど、結構長尺でダレる部分もあったのでこちらを選んだ。

このライブ盤初めて聴いた時から思ってたんだけど、スタジオアルバム完全に超えてない…?アレンジ変わって曲のダイナミクスがグッと引き上がってるのもそうなんだけど、こんなライブ生で観られたら感涙にむせぶと思う。

Sufjan Stevens - Carrie & Lowell Live (Official Film) - YouTube

 

17.Mellow Waves / Cornelius

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「あなたがいるなら」は個人的な今年のベストトラック。坂本慎太郎さんがボウイやプリンスのことを思い浮かべながら作詞したというこの曲は、ただのラブソングと取ることもできるし、逆説的に絶望を歌っているとも取れる。坂本慎太郎さんの書いた詞を、小山田圭吾さんがそっと置くように歌うこの曲が好きすぎて何度も聴いた。

その他の楽曲においても、アルバム全体通してスピーカーがすごく良く鳴る印象を受ける。各楽器のアタックが重なることなく漂うように響くので聴いてて全く疲れない。

Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here" - YouTube

 

16.Write In / Happyness

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 デビューアルバムでUSインディ好きを唸らせたHappynessの2ndアルバム。前作は結構曲ごとに影響元がハッキリしてて、元ネタ探しみたいな意味でも楽しめた。ライブ映像を観るに、今作からはメンバーが4人になって曲作りの幅がグッと広がったような印象。自分たちの影響元への愛情を擦り合わせて、今作でバンドとしての個性を確立したと思う。こういうスタンスのバンドにものすごい憧れるなぁ…。

Happyness - 'Falling Down' (Yala! Sessions) - YouTube

 

15.MODERN TIMES / PUNPEE

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2057年から過去を語るプロローグから始まる今作は、アルバムを貫く物語が魅力的すぎて、好きな漫画を何度も読み返すような楽しい気分で聴ける一枚。聴き直すたびに発見があるし、聴こえなかった音が聴こえてくる。(ブックレットも含めて)アルバム全編が遊び心に溢れた名盤だと思うが、特に「タイムマシーンにのって」以降の展開が好きすぎる。

【PUNPEE DJ&LIVE】YouTube Music Night with PUNPEE - YouTube

 

14.w/ave / NUUAMM

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青葉市子とマヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)からなるデュオの二作目。GEZANでのマヒトの歌声はかなり癖があって、人を選ぶと思うが、このユニットでは全く違う表現を味わえる。青葉市子の歌とクラシックギターの響きに、マヒトのボリューム奏法が奥行きをもって響く。やってることは至極シンプルなのに、この浮遊感はなんなんだろうな。

NUUAMM (青葉市子×マヒトゥ・ザ・ピーポー)/MAHO【MV】 - YouTube

 

13.Molly / Ratboys

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 シカゴのインディポップバンドの2nd。今作で存在を知ったんだけど、Danelectroのギターを指引きで鳴らすAudiotreeでのライブ映像を観てどハマりした。いやこのバンドかっこいい…。これ以上やるとベタだよ!?みたいなマンネリに陥る直前、サッと方向転換できるバランス感覚の良さも羨ましい!

"Elvis Is in the Freezer" by Ratboys (official video) - YouTube

 

12.Slowdive / Slowdive

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Slowdiveの新譜は間違いなく今までの最高傑作。音が良すぎる。このアルバムに関しては本当に音聴いてとしかいいようがないな...今まで聴いてきたシューゲイザーの中で類似品が見つからん境地。素晴らしかった。

Slowdive - Sugar for the Pill (Official Video) - YouTube

 

11.公衆道徳 / 公衆道

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韓国人男性の宅録プロジェクト。インタビュー記事がめちゃくちゃ面白い!音楽性も本当に独創的で、こんな素晴らしい音源が日本で公式リリースされたことに感謝...!

公衆道徳 by Botanical House | Free Listening on SoundCloud

 

10.Harmony of Difference / Kamasi Washington

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The Epicで年間ベストを総ナメしたカマシの最新EP。カマシは今作の楽曲に対位法を用いている。1〜5曲目で提示された主題が、6曲目のTruthで大きく花開く瞬間の高揚感。異なるメロディーが6曲目で美しく調和していく、そのタイトルがTruthというのがもうあまりにもかっこいい。性/人種/宗教差別問題に対して音楽が示すことのできるメッセージがこの一枚にある。

Kamasi Washington - Truth - YouTube

 

09.Passin' Thru / Charles Lloyd New Quartet

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50年代から活躍するサックスプレイヤー、Charles Lloyd率いるカルテットの最新ライブ盤。このアルバム、大きなものに包まれていく感がスゴイんですよ...。

「メッセージはシンプル、愛を突き進め。」(チャールズ・ロイド)

なんかお洒落とかかっこいいとか考える前に、心が全部分かってくれるような、そんな音楽ですごい好きだったなぁ。

Charles Lloyd New Quartet - Passin' Thru (Live/Audio) - YouTube

 

08.Tremendous Sea of Love / Passion Pit

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優しいエレクトロポップが大好きなので、このアルバムは琴線に触れまくりでした。意外と東洋的なエッセンスがあって面白いし、Postal ServiceのS.T.に並ぶくらい良いアルバムだと思ったな。You Have The Right優しすぎないか...!?

Passion Pit - You Have The Right - YouTube

 

07.Antiphon / Alfa Mist

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今年のジャズの中で、圧倒的に今を感じたのはこのアルバム。Chris DaveがYouTubePortisheadのMysteronsとかカバーしてる映像をアップしてるんだけど、その響きとこのアルバムのサウンドにすごく近しいものを感じて、勝手にトリップホップと結びつけて聴いてる。もちろんあそこまで暗い印象はないけれど、Breatheとか聴くとあながち間違いではない気もする。結構アルバム全体にがっつり空白を残すの勇気いると思うけど、その空白を相互に補い合う感覚が本当にハイセンスだと思う。Kyokiという曲で急にマクラフリン風のギターソロがぶち込まれるの、結構最初笑った記憶がある。

Alfa Mist - Keep On | 4K Mahogany Session - YouTube

 

06.Life Without Sound / Cloud Nothings

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 Cloud Nothingsの4枚目はこれまでの集大成的な仕上がりになっていて、個人的には最高傑作。一枚目のポップさ、二枚目の不穏さ、三枚目の勢いがこのアルバムには全部詰まっている。俺このアルバム聴いたとき、意味不明だけど「ホラ見ろ!」って思った。ホントに意味が分からないんだけど、このアルバム聴くと今でも「ホラ見ろ!かっけぇだろうが!」と思う。俺たちの音楽!

Cloud Nothings - "Modern Act" (Live at WFUV) - YouTube

 

05.Pure Comedy / Father John Misty

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FJMの最新作はユーモアとナルシシズムがひしひし伝わってきた。こんなエロく歌える男がいま他にいるか!?早く来日公演が観たくてウズウズしている...。とにかくPitchfolkが公開しているライブ映像を観てほしい。

Father John Misty @ Capitol Theatre | Full Set | Pitchfork Live - YouTube

 

04.Rocket / (Sandy) Alex G

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"エリオットスミスの後継"みたいなポジションをすっとばして才能を開花させた大傑作。アルバム前半でオルタナフォーク的な感じでいくのかなと思わせつつ、全編通して聴いてみたら「今のはなんだったんだ...!?」と吃驚するほど好き勝手やってる。好きなことが沢山あったら全部やってしまえばいいんだよなぁと勝手にひとりごちたのでこのアルバムは自分の中で特別なものになった。

(Sandy) Alex G - Bobby (Official Video) - YouTube

 

03.Yesterday's Gone / Loyle Carner

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今年のラップアルバムを一枚選べと言われたら、間違いなくコレ。何の前情報も入れずにジャケットに一目惚れして音源を聴いてどハマリした。このジャケ、人柄の良さがヒシヒシと伝わってくるので本当に好き。「Mean It In The Morning」みたいな所謂"チルい"曲は勿論、「Stars & Shards」や「NO CD」みたいなリフの上から畳み掛けるような曲もアツさの中に知性を感じさせてすごく良いと思う。マジで来日してくれ...!

Loyle Carner - Mean It In The Morning - YouTube

Loyle Carner - NO CD (Official Video) ft. Rebel Kleff - YouTube

 

02.Friends Again / シャムキャッツ

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 4ピースというバンドの基本形態に余分な要素を何も足さず、ここまで堂々と良い音楽を鳴らすアルバムは今年あまりなかったんじゃないかと思う。余分な要素を削いでいった結果問われるのは「それが小細工抜きで通用する普遍性を持つものかどうか」ということだと思うがこのアルバムは本当に良いんだ…。別に難しい言葉もたいして使ってないのに、人を感動させたり考えさせたりする歌詞を俺も書きたいなぁと思う。今年一番のギターポップアルバム。

シャムキャッツ - Travel Agency (Lyric Video) - YouTube

 

01.A Crow Looked At Me / Mount Eerie

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今まで少ないなりにいろんな音楽を聴いてきたけど、こんなに苦しい気持ちになるアルバムはなかったなぁ…。家にCDが届いて歌詞カードを見ながら曲を聴いた時のやるせなさは忘れることがないだろうと思う。音楽の役割って人によっても、その時のコンディションによっても変わってくると思うけど、一つ例を挙げると言外の心情を掬い上げるっていう呪術的な機能がその根本にあると思っている(すごく勝手に)。じゃあその言外の心情とやらがどんな音を用いても、詩的言語を用いても、昇華されない/救済されない場合は何ができるのか。このアルバムからは救われないとわかってても、音楽でその"救われなさ"自体を表現することを選んだ人の苦悩が伝わってくる。本当に良い作品は絶対に答えることのできないが、考え続けなきゃいけない問いをこちらに投げかけてくる。この作品は今年の不動のベストだし、今後もずっと特別な一作。

"Real Death" by Mount Eerie (from "A Crow Looked At Me") by P.W. Elverum & Sun, ltd. | Free Listening on SoundCloud

 

 

 

 

2017年 上半期の16枚

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備忘録代わりに今のところ心に残った16枚を残しておく。

左上ブロックはEMO/Indie Rockあたりの括りで4枚。

oso oso / the yunahon mixtape

Twin Peaks / Urbs in Horto

Sorority Noise / You're Not As ____ As You Think

Grandaddy / Last Place

右上はRap / Ambient / Electroあたりで4枚。

Cornelius / あなたがいるなら 7"

Bonobo / Migration

Loyle Carner / Yesterday's Gone

Shuta Hasunuma & U-Zhaan / 2 Tone

左下はオルタナフォークあたり。

(Sandy) Alex G / Rocket

公衆道徳 / 公衆道徳

Happyness / Write In

Father John Misty / Pure Comedy

右下はスロウコア/サッドコア系

Slowdive / Slowdive

Mount Eerie / A Crow Looked At Me

Peter Silberman / Impermanence

Julien Baker / Funeral Pyre 7"

Mount Eerie『A Crow Looked At Me』

 本作は2016年8月31日から12月6日にかけて、Phil Elverumという一人の男が、亡くなった妻の部屋で妻の楽器を用いて録音した作品である。アルバムのライナーにはPhilの本作リリースにあたっての動機が示されている。そこでは「ここまで情報をシェアするのか?」というSNS全盛の社会への疑問と、自身や家族の(特にアートや音楽等の共有するには「あまりに特別」な物事に対する)プライバシーのバリアの重要性が語られるが、その後には妻の死によって彼の内面に生じた変化が綴られる

彼女は家で亡くなり、僕は誰にも属さなくなった。僕の内面の瞬間がまるで公共の財産のように感じられた。自分自身のあるいは個人的な好みや曲を持つこともできるというアイディアが病院への運転手、介護人、子育て人、嘆き悲しむ人になる前のもっと自己中心的だった時代の遺物の、ある馬鹿らしい古いアイディアをむしばんでいった。(国内盤ライナーより)

  彼は動機について最後にこのように結ぶ。

彼女を愛していると言っている自分の声を増殖させるために、これらの曲を書き、世間に発表する。そのことを知って欲しい。(国内盤ライナーより)

 

【感想】
アルバムは「Death is real」というセンテンスから幕を開ける。本作を貫くテーマが"死"であることは明らかだが、このセンテンスは"死"に対するPhilの姿勢を最も端的に表現しているように感じられる。
 近年リリースされた"死"をテーマにした作品群としてはSufjian Stevensの『Carrie & Lowell』やSun Kil Moonの『Benji』が記憶に新しい。Sufjian Stevensの実母と義父の名が冠された『Carrie & Lowell』では、現実と神秘の世界を行き来するような宗教性/神話性の高い世界が(特に歌詞を中心に)全編を通して形成されている。そしてその詩的な飛躍には言うまでもなく、多少なりともサウンドのダイナミクスが添えられる。『Carrie & Lowell』という作品の中で、"死"という不可視で曖昧な概念は、作り手の意思と共に「現実」の範囲を超えて伸縮し、飛躍していくような感覚を聴き手に感じさせていた。

Sufjan Stevens, "The Only Thing" (Official Audio) - YouTube

また、Sun Kil Moonの『Benji』はMark Kozelekオハイオ州で遭遇した"死"をテーマにした作品であり、(一曲目の「Carissa」において唄われる「Meant to give her life poetry To make sure her name is known across every sea」という歌詞は『A Crow Looked At Me』の制作動機と重なる点が認められる。)、アルバム一枚を通して描かれる多様な"死"は一種の群像劇の様相を呈している。このアルバムで唄われた様々な"死"のあり方は、その全てが交錯しあいとても立体的な空間を立ち上げているように感じられる。

Sun Kil Moon - Carissa - YouTube

 一方で、『A Crow Looked At Me』の場合はどうだろうか。その詩の中に描かれるのは彼自身と彼の娘、そして今は亡き者となった妻の面影にすぎない。先に挙げた二作品とは異なり、描かれるたった一つの"死"は伸縮も、飛躍も、交錯も、昇華もされぬままあるがままの現実として凝視される。次元的な拡がりも深まりも認めず、"死"を現実として見つめる姿勢はそのまま簡素(あまりにも地味)ともいえる演奏に繋がる。全編明るさや希望を感じさせる音色は全くといっていいほど用いられず、(「Toothbrush/Trash」などの後半のように)例え用いられたとしても「It does not feel good.」という現実への立ち返りによってその先が閉ざされる。この作品は現実の範囲を彷徨するばかりで救いが訪れる瞬間がない。そこには何の解決もなく、解決への予兆すら存在しない。その苦しいばかりの瞬間を切り取ることにどれほどの信念を傾けただろう。浮かんでくる逃避の手段を断ち切る、断ち切らざるを得ない絶望はどれほど深いものだっただろう。

 「死が現実」であるという感覚、もっと言えば「死が、たかが現実と並べられてしまう」悲愴は、おそらく全ての人の理解を得るものではないはずだ。死は特別なものではないし、特別なものではないからこそ苦しいのだという感覚を、この作品はたった一つの"死"に真っ向から向かい合うことで、真摯に、切実に伝えている。

"Real Death" by Mount Eerie (from "A Crow Looked At Me") by P.W. Elverum & Sun, ltd. | Free Listening on SoundCloud

A Crow Looked At Me

A Crow Looked At Me

 

 

年間ベストアルバム(2016)

評価軸を度外視した、超自己満ランキングなので、そこらへんはご容赦いただけると助かります。とりあえず、次点5作品とベスト30で組んでみました。

坂本慎太郎 / できれば愛を

ソロ作の中で一番ポップだった気がする。こちらも音数を減らしつつも、揺れるスティールギターの音に奥行きがある聴いてて気持ちよい一枚だった。歌詞が若干パーソナルな内容になったのも個人的には◎。諦観が目立つ近作で確立した世界観を、根本から揺るがすスケールの次作を待望している。

 

Omar Rodriguez-Lopez / Umbrella Mistress

オマーほど弾いてる姿でワクワクさせてくれるギタリストはいないと思っていたが、まさかドリームポップ路線でもキュンとさせられるとは...!今年どん引きするぐらいのペースでリリースしていたソロアルバムは大きく分けるとエレクトロ系とドリームポップ系に分かれていると感じたが、その中でも最も聴きやすいのは本作だったのでこれで。毎月の大きな楽しみだった。

 

Brian Eno / The Ship

あんまり眠れない夜に、自分の頭の中でずっと「あ~~~~~~~」って言うといい、と聴いたことがあるが、それを音楽にするとこうなる(最大級の褒め言葉)。ちょうど仕事の都合で方丈記をイヤってほど読みこんだんですが、この音楽には無常観を感じたなぁ。ヴェルヴェッツの「I'm Set Free」がラストにくるあたり、ちょっと救いが欲しそうなのも人間くさくていいじゃない。

 

V.A / Day of The Dead

USインディのオールスター集結!といった趣のトリビュート。メンツみるだけでも最高だが、5枚組という超ボリューム自体がもうデッドへのリスペクトの表明に思えてニヤニヤ。聴き通すのに時間はかかったが、相当楽しい企画だった。

 

Deftones / Gore

"デフトーンズ"というジャンルを更新した一枚。crossesなど、チノのサイドプロジェクトの影響がバンドの音楽性をさらに深化させていて、メタルからは離れたものの、今までで最も聞き飽きない一作になっていると思う。ノットフェスばかり出てないで、単独をすること!

―― ここから順位がつけられました。――

30:Lionlimb / Shoo

エリオットスミスがR&Bに接近した、といえばいいのか、ギターの代わりにドラムを叩くエリオットといった趣の一枚。アルバム全体を通しての起伏のなさが気にはなるが、ここまで彼の姿がダブるのは自分が惹き付けられたからなんだろうなぁ。自作の更なるオリジナリティの開花が楽しみ。

 

29:Klan Aileen / Live at Milkyway

フルアルバムではなく、あえてカセットで販売されていたライブ盤を。アルバム完成に至る前のプロトタイプ的な曲群の、全く角が削れていない感じがド頭に突き刺さる。このライブからアルバム発売、アルバム発売から渋谷でのワンマンと、バンドの目指す音像が目まぐるしく変化していく過程が早すぎて恐ろしい。

 

28:The Anchoress / Confessions of a Romance Novelist

今年はポールドレイパーがEPを二枚出して(内容も良いんです!)Mansunファン歓喜だったのですが、プロデュースにまわった本作も節々にポール節が見えるのですごくニヤニヤできる。Vo.の表現力も高く、ダークな絵本を読んでるみたいなスリルある一枚。

 

27:Dinosour Jr. / Give a Glimpse of What Yer Not

ダイナソーの現役感バリバリの一枚。キャリアの中でもトップクラスにポップなメロディ、ハイファイなサウンドで、ここからさらに新規層が増えるんじゃ?ってくらいの好盤だった。なによりライブが最高の思い出。ギターの音で頭ぶん殴られた。

 

26:Itasca / Open To Chance

閉塞感のあるアシッドフォークも大好きだが、開放感のあるアシッドフォークはさらに最高。ジャケットのように牧歌的で暖かみのあるサウンドに、優しい歌声が響く。派手でもなく新しくもない音楽に何度癒やされたことか。

 

25:Teenage Fanclub / Here

はじめてTFCのアルバムをリアルタイムで発売日に買えた。作品を追うごとに、成熟して音が丸っこくなっていく近作の流れに、少し退屈さを感じていたが、本作はメロディの良さを一際感じて、バンドと一緒に歳をとる充実感を教えてもらった。

 

24:OGRE YOU ASSHOLE / ハンドルを放す前に

「オウガの引き算もとうとうここまできたか・・・」な一枚。最小限の音数で人を揺らす、"サルでも分かるリズム・グルーヴ入門"みたいな一枚でした。坂本慎太郎ソロとの共通点も多いが故に、見れるうちに見とかないとなと思う。末永く良い音楽を...。

 

23:Modern Baseball / Holy Ghost

今年もEMOは凄かったが、その中で一番「蒼かった」のは彼らかなと思う。Wedding Singerのイントロのリフが鳴った瞬間の高揚感よ!個人的に歌メロがジャックスマネキンに近い感じがすごくツボだったなぁ。

 

22:Anderson .Paak / MALIBU

今や活動を追うのが困難なほどに様々なアーティストから引っ張りだこのアンダーソンパック。音源の完成度がものすごく高いのは言うまでもなく、来日公演では、あの音源の完成度の高さに足し算する余地が隠されていたことに愕然とした。センス良すぎだろ...。

 

21:American Football / American Football

OWENの新譜が良かったこともあって、ある種の不安と共に聴いた本作だが、聴けば聴くほど良さが染み渡る...。最初は前作とのミックスの違いに戸惑ったが、唄が前面に出せるようになったのもOWENをはじめとした(OWENの新譜だが、こちらもかなり良盤でした。特にSettlle Downなんかこれ、新たな名曲誕生といってもよいのでは。)価値の蓄積があってこそ。みんなを幸せにする2ndでした。

 

20:Hurry / Guided Meditation

スリーピースで、毒にも薬にもならないギターポップを楽しそうにやられるのは胸にクる。Vo.の声が好きなんだな。メディアには全く取り上げられなかったが、とにかく胸にクるグッドメロディに溢れた作品だった。大好きだから三曲貼っちゃう。

 

19:White Lung / Paradice

とにかくアルバム発売に先駆けて公開されてた曲の勢いだけでノックアウト確定だったのに、それが全編ぶっ通しとなるとズルいとしか言い様がない。COTD的なメタルめいたリフの疾走感が爽快。

 

18:Blood Orange / Freetown Sound

このアルバムは「Augustine」の一曲で足れりといった感じ(一番好きなのは「But You」だが...)。勿論他の曲も素晴らしいが、ポリティカルなメッセージの裏に隠された超ポップな歌メロ、ドリームポップ的な奥行きそれらが高度に均衡を保っている音像に衝撃を受けた。ライブも素晴らしいパフォーマンスだった。

 

17:Drugdealer / The End of Comedy

Mike Collinsのソロプロジェクト。ゲストにWaynes BloodやAriel Pinkを迎えたり、表題曲のPVにはMac DeMarcoが登場したりと地味に豪華なアルバム。そこらへん界隈好きな人には間違いないかと。何もやる気のおきない休日にとにかく合ってしまうユルさ。「Real World」が今年のベストトラックでかなり上位にくるくらい好きな曲。

 

16:Wilco / Shmilco

優しい音楽の中に、職人たちのイタズラ心がチラチラ垣間見えるあたり、すごく好みな一枚でした。ジャケットはもうこれコミカル部門では今年ベストでしょう。個展開かれることを祈るのみ。

 

15:Whitney / Light Upon The Lake

様々なメディア、ブログ等で絶賛されてる本作に今更付け足す所見などない。カントリーとソウルの融合は盲点だった...。深い音楽的素養を万人に聴きやすい形に落とし込んだ着想の柔らかさに脱帽。タイムレスメロディです。

 

14:トクマルシューゴ / TOSS

特有のおもちゃ箱感はそのままに、バンド感が圧倒的に増した傑作だった。Hikagenoとか、これまでの作品の中で未到達の領域に思いっきり連れて行ってくれる飛び抜け感がたまらん!Cheese Eyeとか、トムとジェリー好きにはもう落涙ものの完成度...!

 

13:Lambchop / Flotus

一曲目、「In Care Of 8675309」をはじめとして、Vo.のオートチューンや明らかに増したエレクトロ色の強さ等、これまでの作品と全く違う感触。しかしそれらの要素が逆に彼らの音楽の、人間の声の暖かみを強調しているような印象。何年後も聴く愛聴盤になるだろう。

 

12:Moe and Ghosts×空間現代

今年のHip Hop/Rap周りのアルバムはものすごく豊作だったと思うのですが、まさか日本からこんなラップが突然変異したような音楽が産まれるとは...!何回も聴き通してようやくグルーヴを掴める、ラップ版魔界村みたいな作品。Zazen Boys好きに是非オススメしたい。

 

11:Andy Shauf / The Party

音へのこだわりが抜きんでているアルバムだと思った。特にこういったパーソナルな音楽では引っ込めがちな低音を割と強く押し出しているのが今風で斬新。歌詞の静かに狂っている世界観が寂しくて寂しくて、本当に惹き付けられた。

 

10:Twin Peaks / Down In Heaven

こいつらのバカさにどれだけ元気をもらっただろうか、音楽をやっている/聴いている時くらいは子供のままでもいいよねと切に思える。友達になりたい。いつでも気持ち良さそうに唄ってくれるバンドは裏切らない。音源も最高だが、ライブも観てて笑える。

 

09:Jeff Rosenstock / WORRY.

パワーポップ、ポップパンク、ハードコア、スカといったあらゆるジャンルを横断しながらバカ騒ぎの楽しさを一緒に味あわせてくれるアルバム。初期WEEZERに近い歌メロのまわし、バカさの強調のために使われるkey.など、一曲聴いたら絶対最後まで通しちゃう魔力。

 

08:Bon Iver / 22,A Million

先行トラックで「なんだこれ」と思ったが、蓋を開けてみると、アルバム三作(間にEP一枚)の流れに必然性を感じさせる名盤だった。Bon Iverの音楽から怒りが表現されるのは、いつも優しい人が急にキレたみたいな、「ホントに切迫してんだ」って感じがしたなぁ。33 God以降の混沌とした世界から逃れようとするような曲群がすごく響いた。この曲は個人的に断トツで今年のベストトラック。

 

07:Psychic Ills / Inner Journey Out

骨を抜かれたBRMC、宇宙までは行けないSpiritualized、つまりジザメリの5枚目みたな作品なんですが、こういうの堪らん人にはホント堪らん。自分の中の物事の捉え方の温度に、物凄く近い気がして、一人の夜にすごい聴いてた。

 

06:Jesu/Sun Kil Moon / S.T.

Jesutin Broadrickの一本一本の繊維がほどけるような轟音ギターに、Mark Kozelekのボヤキが乗っかっている。これだけなのに(これだけだからか)やけに感動する一枚。モノクロのジャケも内容にぴったり合致している。今年は聴いてて死を思わせる、灰色の音像の一枚が多かったなぁ。

 

05:Mikael Lind / Intensions and Variations

EPだけど素晴らしかったので入れちゃう。今年聴いたアンビエント作品の中で、一番「流れていく/流れてくる感」があったのはこれかなぁ。河の中を揺蕩うような、そんな感覚になるアンビエント尊い。あらゆるシチュエーションから「今ここではないどこか」に連れて行ってくれる最高の一枚。

 

04:The Hotelier / Goodness

このアルバム、冒頭に詩の朗読があって「I see the moon.The moon sees me.That's enough.」という一節を終えて曲に入るんですけど、これかっこよすぎないか...!?EMOは祈りです、僕も祈ります。という気分にさせてくれる最高に感傷的な一枚。

 

03:Pinegrove / Pinegrove

今年聴いてて一番「バンドっていいよな!」となったインディロックはこの一枚。適度に個性的なVo.は音程という面でライブでも安定していて、メンバーの出音への拘りも強く感じる。来日してくれたら是非観たいなぁと思うばかり。自分のウジウジした生活に、最もフィットする形でエールを送ってくれた作品。

 

02:John K. Samson / Winter Wheat

この一枚がニールヤングの「渚にて」に影響を受けていることをフォロワーさんに教えてもらってから、ニールヤング熱がスゴイ。そしてニールヤング熱が、この作品にまた還っていく。ニールヤングといえば、リンクレイターの新作「エヴリバディ・ウォンツ・サム!」の主人公のジェイク君のお気に入りの一枚がニールヤングのベストで、「あ~ただの体育会系じゃないんだな」って分かるのよかったですよね。...このアルバムに関していえば、聴けば分かるとしかいいようがない、それだけ人間の本質的な部分に届く、暖かくて優しい良い音楽。昨年のスフィアン同様、今年最もパーソナルな部分に響いた一枚だと思う。

 

01:Radiohead / A Moon Shaped Pool

なんだかんだいってDaydreamingが公開された瞬間「あぁ、今年はこの曲に象徴されるな」と思った自分がいた。サマーソニックでのライブも凄まじかったが、そんなのは関係なしに、バンドという共同体が互いに作用しあってここまでの芸術を産むことができるのかと、ここまで他者を置き去りにして高い地点まで昇れるのかと、完全にノックアウトされた。

以上の35枚が個人的に愛聴したアルバムたちでした。来年はどんな音楽が聴けるのか、良い音楽に相応しい生活を送れるよう、精進いたします。ここまで読んで/聴いてくれた方どうもありがとうございました。

Hurry『Guided Meditation』

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[Tracklist]

  1. Nothing To Say
  2. When I’m With You
  3. Fascination
  4. Love Is Elusive
  5. Shake It Off
  6. Sinking Feeling
  7. Telepathic
  8. Under Her Thumb
  9. I Wanna Be You
  10. Nothing To Say (Bonus Track)

Hurry - Guided Meditation by Lame-O Records | Free Listening on SoundCloud

フィラデルフィアの3ピースバンドHurryがリリースした2ndアルバム。このアルバムがTFCにも通じるようなグッドメロディのギターポップで、全く疲れずに延々聴けるので今年出たアルバムの中でもかなりお気に入り。全く新しいことはやってないものの、だからこそ直球勝負な潔い印象を受ける。

2014年リリースの1st『Everything / Nothing』のディストーションがかったいかにもな宅録パワーポップサウンドも好みだったが、今回はギターポップ寄りの柔らかいサウンドに寄ってメロディの良さがより際立ったと思う。

Vo.の声が少年っぽくて、自分が好きなギターポップに共通する放課後のワクワク感的なものがビンビン伝わってくるじゃないの!これからも好きな音楽ずっと続けて欲しいなぁ。

年間ベストアルバム(2015)

2015年のアルバムもそろそろ出そろってきたので、年間ベストアルバムを考えてみました。とりあえず10位までで。

 
10:Salad Boys『Metalmania』

部屋で横たわって75~86点くらいの曲しか入ってないアルバムをチンタラ聴こうぜ協会会長である僕イチオシのSalad Boys。名前が最高だと思います。12弦ギターのキラキラした音が、何もやる気の起きない休みの日を肯定してくれます。スリーピース特有の音の隙間を埋めない感じが好みでした。

9:Destroyer『Poison Season』

ホーンセクションが入ってきたときの報われた感が異常に気持ち良いです。なんかこうインディ特有のウジウジ感と、ホーンの解放的なベクトルのバランス感覚が最高だと思います。それぞれのパートの音がすごい気持ち良くて、聴いててスーッとするアルバムでした。

8:Widowspeak『All Yours』

良いアルバムって一音目で「うわぁ~ッ...」てなるじゃないですか。2015年で最高の一音目のアルバムはコレだと思いました。このギターの最初の一音を聞きたいがためにアルバムを再生することもしばしば。勿論その後の曲も良いです。ウィスパーにならない程度の温度感の女性Vo.も最高です。

7:Mikal Cronin『MCⅢ』

前作のMCⅡも相当傑作でむこうの方がノイジーで好みではありましたが、KEXPでの映像を見て3rdアルバムのライブ映え具合に愕然とさせられました。今作はストリングスにスポットを当てた曲群がとにかくポップでキラキラしていて、ただただワクワクさせられます。マジでTy Segall連れて来日しないかなと、ずっと前から言ってます本当に。

6:吉田一郎不可触世界『あぱんだ』

Zazen Boys吉田一郎が14歳の頃からストックしていたフレーズを再構築して作った1stソロアルバム。近年のZazen的なシンセを中心に据えた路線は予想出来ても、ここまでヒップホップと都会派チルウェイブ的な路線で来るとは思っていなかったです。大して韻を踏みに行ってなさそうなラップの語感の良さが異常に耳に残ります。曲の幅が本当に広くアルバム全体の統一感はないものの、だからこそ2ndがすごい面白くなりそうで超期待してしまう自分がいます。

5:Titus Andronicus『The Most Lamentable Tragedy』

古き良き音楽を、楽しそうにやってるから超好きです。パワーポップの源流からモッズからパンクから色んな要素を取り込んだご機嫌な音楽が続きに続いて、色々インタールードとかあれどアルバム29曲とかいうボリュームはもう笑うしかありません。自分たちの好きな音楽をホントに楽しそうに演奏してるのは憧れます。

4:Girl Band『Holding Hands With Jamie』

なんだろう。聴いててスリルが半端なかったです。「来るぞ...来るぞ...来ないのかよ!!」ってなったり「来ないよね...って来るのかよ!」ってなったり、良い意味でサービス精神ゼロの曲の作り方に翻弄されてしまいました。METZとか今年もアツかったけど、衝撃という点ではGirl Bandだったかなぁと思いこの位置に。分かりやすいノイバウテン的な感じのサウンドです。

3:Jim O'rourke『Simple Songs』

貫禄の作品だったように思います。『Eureka』を失敗作だと思っている、というジムオルーク完全読本のインタビュー通り、表現することへの恥であったり内省的な部分を敢えて排除したような曲群はホントに考えさせられました。ライブではギターが前に出まくりで痺れまくりでした。

2:Courtney Barnett『Sometimes I Sit And Think And Sometimes I Just Sit』

マジでカッコいいです。ルックスからサウスポー手弾きの演奏スタイルまで、2015年の新たなスター爆誕しとるやないかと、ヒシヒシと感じました。はやく2ndを...!

1:Sufjan Stevens『Carrie & Lowell』

今年も素晴らしいアルバムが沢山出ましたが、聴いていて泣きそうになったのはこのアルバムだけでした。歌詞が分からないけど泣きそうになって、歌詞が分かってもっと泣きそうになりました。今年は個人的に色んなことがあったけど、このアルバムがあったからこそ救われたと思います。生涯聴くであろう一枚でした。

今年も良い音楽が沢山あって楽しかったです。