腰に10倍の光をあてるお婆ちゃんの話

このあいだ、腰に10倍の光をあてるお婆ちゃんに出会った。

 

勤務を終えて職場の最寄駅であるA駅のホームで電車を待っていると、1人のお婆ちゃんがゆっくりと近づいて来て、「このあたりにいると、何号車に乗れるの?」と尋ねてきた。福知山線脱線事故をニュースで見て以来、先頭車両付近に乗るのが怖いらしい。電車の進行方向からすると、この付近は最後尾の車両だということを伝えるとお婆ちゃんはニコリと笑ってお辞儀をした。その時に、このお婆ちゃんには前歯がないこと、それどころか前歯の脇にあるはずの犬歯とかもない感じであることに気づいた。フガフガした喋り方と笑った時の顔のシワからして、全く邪悪さを感じさせないお婆ちゃんだと判断できたので、そのまま一緒に電車に乗り込んだ。

 

17時過ぎの電車は仕事終わりのサラリーマンや、これから夜の街で遊ぶであろう若者に溢れていて、座席の前までいくには人を掻き分けなければいけない。なるべくお婆ちゃんを座らせてあげたかったが、終点の主要駅までは3駅程度だからまぁ仕方がない、我慢してもらおう、と思っていたところ、どこからともなく布を高速でこすり合せるような音が聞こえてくる。音の正体を確かめるために周囲を見回すと、お婆ちゃんが高速で腰をさすっているのである。

「おばあちゃん、腰、痛いの?」

「この歳になると、どうもねぇ...。」

そんな会話をしていると、見かねたサラリーマン風の男の人が、遠くの方から手招きをしてくれた。どうやら席を譲ってくれるらしい。おばあちゃんは技術室にあった、正確に90度を測る定規のような姿勢のまま、サラリーマン風の男に近づき、まだ男の温度を残しているであろう席に申し訳なさそうに座った。

「座れてよかったね、おばあちゃん」と声をかける。おばあちゃんは少し恥ずかしそうにしながら「歳をとってからの方が、男の人は優しくしてくれるもんだねぇ」と笑っていた。どこかで聞いたことがあるようだが、お洒落な冗談だと思った。席を譲ってくれたサラリーマンは、つり革につかまりながら、窓の外を見て少し微笑んでいるように見えた。

 

主要駅に着く頃、おばあちゃんの行き先を訪ねてみた。都心から35分程度離れた駅に向かうとのことらしい。腰を痛めた老人が電車で35分間立ちっぱなしになるのは心配だ。

「次の電車は、優先席の近くに行った方がいいかもね、おばあちゃん。」と告げると、「大丈夫。次行くところで治るから。」との返答が返ってきた。どうやらおばあちゃんはこれから病院に行くらしい。

「なんだ。それなら安心だわ。病院からお家は近いの?」

「病院は家の近くにあるねぇ。ほら、A駅の近くのスーパーの裏の...」

「あれ、お家はA駅の近くなんだ。じゃあこれから行くところは違う病院?」

「病院?違うよ。光当てるとこ!」

「光...?」

「そう、十倍の光を当ててもらうとこ!」

一倍の光すら分からないのに、十倍が分かるはずもない。思わぬ展開に沈黙している間、おばあちゃんは矢継ぎ早に「十倍の光を当ててもらうと、腰が楽になんの!」「こないだ初めて行ったんだけど、腰の痛みがあっちゅうまに、スーッと消えんのよ、コレが」「ただの光なのにねぇ...」などと、十倍の光の効用を説明してくる。

 

これから向かうところが病院でない以上、おばあちゃんが何らかの組織に圧倒的なまでに騙されていることはほぼ確実であるものの、見ず知らずの若者である自分がそれを止める術はないように思った。おばあちゃんは十倍の光に魅せられている。初対面の自分でも、その光がおばあちゃんにとっての希望であることは痛いほどに読み取れた。

 

「そんなにすごい光があるんだね。今度困ったら俺も当てに行こうかな。」

「あんたはまだ大丈夫よ。優しい男は健康でいられるもんだよ。」

「マジか、嬉しいなぁ!ありがとね、おばあちゃん」

「こちらこそ、こんな年寄りに優しくしてくれてありがとうね」

 

主要駅に着き、電車のドアが開いた。

おばあちゃんが向かうべきは目の前の階段、自分が向かうべきはホーム中央の階段。ここでお別れだ。

「おばあちゃん、最後にいっこ聞いていい?」

「なに?」

「十倍の光って、何が十倍なの?」

おばあちゃんは少し黙ったあと、こう言った。

「...“有り難み”!」

おばあちゃんは手すりに掴まりながら、十倍の光の差す方へ消えていった。

MONKEY19号刊行記念 柴田元幸トークショー

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・『ウィットバーネットに敬礼』の朗読
 ストーリー誌のアンソロジーに対する序文。1960年代に執筆。サリンジャーは1930年代に氏の講義を受講。ストーリー誌ではなく、バーネット氏の記述に終始しているため、結局この序文は掲載されなかった。1975年、バーネット氏の没後に『作家のためのハンドブック』が出版。そこにひっそりとこの序文が掲載される。日本では未翻訳、今後もおそらく翻訳は成されないと思われる。

 

・『若者たち』について
ストーリー掲載時の他の短編と比べて、ダントツだと感じた。サリンジャーは初期が一番凄いと思うくらいの会話の上手さ。ヘミングウェイ『インナータイム』における氷山の一角理論が想起される。小説では氷山の一角を語ることで、その全体を掴ませなければいけない。アメリカの小説の語りの中でも、新しい流れを感じさせる。言葉の奥に何かを感じさせるが、その何かを特定できない。語り手たちもそれが何か分かっていない。

 

・シャーリージャクスン『ジャニス』(1938)の朗読。
大学の同人誌にて発表。学校に戻れない女の子が、ガレージの中で自殺を図り、その経験を周囲の人物に幾度も吹聴する話。本当に自殺を図ったのかどうかも分からず、読める可能性の幅が広い。

 

フィッツジェラルド『真珠と毛皮』について
サリンジャーの一つの影響源。14歳あたりの女の子の語りが新鮮。MONKEY掲載にあたり、村上春樹の許可を取ったとのこと。

 

・R・Oブレックマンについて
ストーリーの復刊に際して、表紙とデザインを手がけた。MONKEY15号に詳しい。ブレックマンの本棚の写真。フィリップロス。同世代のユダヤ系の作家。ペレルマン。グレイスペイリー。大江。村上龍。春樹。『本当の翻訳の話をしよう』の表紙を依頼(左が父。右は息子。)。村上春樹のサインが条件にあったらしい。

 

・アニメーション二本の上映。
 「アルカ・セルツァのCM」人間と胃袋の言い争いに、胃薬が仲裁に入ってくる。ハッピーエンドではない絶妙な表情。「CBSのために制作したクリスマスメッセージ」

 

・今号のテーマ、その現在との繋がり。
 サリンジャー作品には今読んでも古びない新しさがある。今号で扱ったテーマに関連する重要作はリチャードライト『アメリカの息子(Native San)』。誤って白人女性を殺した黒人男性が裁かれる。その責任は誰にあるのかを問う抗議小説。

そこから繋がる現代の作品として『Friday Black』という短編集の朗読。主人公はエマニュエルという若者。ブラックネス(黒人指数?)が数値化できる世界。人々はそれを抑制しながら生活している。ある日、白人の中年男(ダン)が、黒人の子ども5人をチェンソーで殺す事件が発生。事件を受け、エマニュエルとその同級生らは暴力組織を結成。白人たちを襲撃する計画を立て、それを実行していく。

朗読場面は、裁判の場面とエマニュエルとその同級生が車でイチャつくカップルを襲撃する場面が交互に展開。未邦訳だが、かなり衝撃的な作品で、近いうちにきっと翻訳が出るだろう。

 

質問コーナー
Q.表現者としての素質があればあるほど、社会から疎外されてしまうのか?
A.それは人によると思います。程度の問題かと。イノセンスと社会は融和しない。

 

Q.子どもの心が大きければ、才能が大きい?
A.作家が小説を書くときに、社会規範から逃れる。バカになって書く、という観点からすればそのようにも捉えられるかも。

 

Q.今号の表紙のテーマは?
A.ブレックマンが子どもの頃、多感だったニューヨークを表現。50年代のNY。目次のところのタクシー。

 

Q.柴田さんの朗読に落語の影響はある?
A.ある。

 

Q.サリンジャーのゼミに通っています。原文にあるヴォイスを訳にどう反映するか。サリンジャーに近いヴォイスを持つ作家/翻訳家は?
A.村上の訳ですら、原文と違う。丸い。たぶん近い訳にすると促音が多くなる。ホールデンが常にカッターを持っているように訳さないといけない。スラング等の尖り方はなかなか日本語に翻訳できない。そういった表面上の問題を除いて、最後に残るエッセンスを損なわないのが良い翻訳。そのような意味では春樹訳は素晴らしい。

 

Q.今回のトークショーは、過激なムードがある?
A.40年の『今時の若者』周辺が、現在にどう繋がっているかが、朗読のテーマ。リチャードライト以降。リアリズムを超えて、和解の幻想も超えて、現在に繋がっていく。

 

Q.『針音だらけのレコード盤』の他の訳はある?
A.サリンジャーがつけたタイトルは"Scratchy Needle on a Phonograph Record"。コスモポリタン掲載時は『ブルーメロディ』。勝手なタイトルの改変にサリンジャーは激怒した。翻訳は荒地出版からの作品集に掲載されてる。MONKEY掲載時には省いたが「乗った針」の部分も必要だったと後悔。聴けば聴くほど、傷がつくレコードのように無垢を守っている自分も、人を損ねているかもしれない。そこに作中人物の人との関わり方との共通項がある。

健やかな休日の過ごし方

朝は9時までに起きること。録画した番組は人と一緒に見るために夜まで取っておくこと。外に出て、人間が起き、動き、生産的活動に従事しているのを見たり、聞いたりすること。自分で選んでいない音楽を聴くこと。なんでもいいから本を開くこと。ここはつまらないと思ったら、次の場所に行くこと。可能な限り、人と喋ること。その際、なるべく形式から逃れた、意味のある会話を取り交すこと。選択の余地を減らし、目の前の出来事に専念すること。白いTシャツをシワがなくなるように畳むこと。少しでも物を書いたり、言葉を発したり、脳の中で焦げている言語を洗い流すこと。日の光を浴びて、目を細めること。甘い、苦い、塩辛い、酸っぱい、を舌に感じさせること。形容詞しか用いないような、すぐ錆びる思考をしないこと。心臓に忙しい思いをさせること。ペダルを踏み込むたびに進む、という当たり前を繰り返して、どこでもいいから行ってみること。汚れた皿を洗うこと。神さまとか、死とか、考えても分からないことに対して、ニュートラルな態度を取り続けること。笑うこと。彷徨うようなギターソロを聴くこと。生活に過度な物語を求めないこと。作ること。動物のようだと思うことも、やってみること。自分にしか伝わらない比喩表現も、せっかくだから取っておくこと。

 

蛇の皮のような模様の灰色の皿、ベタな形としか形容できないコップ、砂色の冴えない布、使い終わったガムシロップの容器にも、愛を持つこと。

年間ベストアルバム(2018)

シングルも込みのベスト30。順位づけに意味は無く、感覚でつけてます。

 

30.『Point of This』『Judy's Lament』/ Yakima

Glaswegian dreamers Yakima present their beautiful alt-rock single 'Judy's Lament'

グラスゴーインディバンドYakimaの今後が気になる。今年リリースした2曲を聴くだけで、彼らが”USインディの良心”の系譜に名を連ねるような優れた感性を持つことを確信。このバンドを知ったきっかけはHappyness(ロンドンのインディバンド)のツイートだったが、アメリカから離れた地でUSインディ的な音像が正当に継承され発展を遂げている点はすごく興味深い。1stアルバムに超期待。

Point Of This by Yakima | Free Listening on SoundCloud

Judy's Lament by Yakima | Free Listening on SoundCloud

 

29.Don't MIss It / James Blake

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2018年は二枚のシングルを発表したJames Blake。中でも『The Colour in Anything』の先の地平を切り拓くような「Don't MIss It」の衝撃は凄まじかった。2010年代は彼の時代だと言い切ることができるほど、他のアーティストに与える影響が大きいJames Blakeだが、 自分が与えた影響が返す波となって迫ってきても全く動じない孤高の存在であり続けていることが、この楽曲から伝わる。

James Blake - Don't Miss It - YouTube

 

28.Only Once Away My Son / Brian Eno with Kevin Shields

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説明不用の二人がタッグを組んで発表したアンビエント2曲。特に、ノイズ/ドローンの趣が強いOnly Once Away My Sonはとても美しい楽曲だった。ソニマニを観に行って、「ああやっぱりマイブラはロックバンドだったんだな」と確信するほど、ギターヒーロー然とした姿を見せてくれたケヴィンだったが、このコラボレーションでは自分の頭の中に浮かぶ美しい世界を完全に再現しているのではないかと思う。レコードストアデイ限定でLP化されたのも記憶に新しいが、スピーカーで流すと家具がガタガタ震えるくらい低音が意外と強くて笑える。

Brian Eno with Kevin Shields - Only Once Away My Son - YouTube

 

27.Minus / Daniel Blumberg

Minus

Daniel Blumbergがリリースした本人名義の第一作。Hebronixとして発表した音源を聴いて、DanielがYuckを辞めた理由はあまりにもハッキリ伝わった。今作はYuck脱退後の諸活動の延長線上に位置しながら、芸術家としての才能や志向するモノがより剥き出しとなった印象を受ける。影を落とすような不協和音や悲痛な歌声を聴くと、その音楽の先にある深い感情へと想像が掻き立てられる。様々な表情を見せる歌声の表現力が最大限活かされた傑作。

Daniel Blumberg - Madder (Official Audio) - YouTube

 

26.Cranberry / Hovvdy

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オースティンのインディバンドの2作目。去年のアルバムから大きく方向性は外さず、SparklehorseやPedro The Lionを想起させる一貫した音像。少し歪みのかかった、ダブルヴォイスのVo.の音響処理がとにかく好み。ナンセンスな音が一切鳴らない感覚、1曲1曲がもう少し聴きたい!というところで終わるのがハイセンスで超クール。作風自体が今作でめちゃめちゃ安定してる印象なので、次作でどう出るか更に楽しみ。

Hovvdy - Late | Audiotree Far Out - YouTube

 

25.Tongue / Anenon

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「自分のためだけに作られた音楽」みたいなものにめちゃめちゃ惹かれるんだが、今年はこのアルバムがすごく琴線に触れた。アンビエント/エレクトロニカ的なバックトラックの上をサックスが彷徨うみたいな曲が延々と続くだけのアルバムなんだが、全体の音像からは確かな説得力を感じる。「俺が気持ち良いと思うことだけを突き詰めたらこうなりました」みたいな。「部屋で一人で聴いてたらテンション上がるからこれでいいんです。」みたいな。実際知らんけども、ジャケットの通り、この世とあの世の間で鳴ってるような音楽。

Anenon - Tongue / Full Album - YouTube

 

24.Music IS / Bill Frisell

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名ギタリストBill Frisellの18年ぶり(!?)のソロ。今年も数多くのアルバムに参加していたが、Billのギタートーン、音の揺らぎを存分に楽しめたのはやっぱりソロアルバムだった。丁寧に爪弾かれる一音は、深いリヴァーヴも相まって豊かな余韻を聴き手に感じさせる。こんなふうにギターが弾けたらなぁ、こんな音楽をプレイできたらなぁと素直に思わせてくれる一枚だった。

Bill Frisell - Rambler (Alternate Version) (Official Video) - YouTube

Bill Frisell & Thomas Morgan - Full Session - 8/16/2017 - Paste Studios - New York, NY - YouTube

 

23.Silence Will Speak / GEZAN

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GEZAN『Silence Will Speak』 メンバー・チェンジして新生したバンドの、多面的な感情を束ねた〈ドキュメントの集合体〉とは? | Mikiki

インタビュー:いい加減みんな気づいてるんじゃないの?――“違和感”と対峙する、GEZAN『Silence Will Speak』 - CDJournal CDJ PUSH

次のアルバムのプロデュースをスティーブ・アルビニが手掛けること、そしてその資金を"BODY BUILDING"と称した一連のプロジェクト(ほぼクラウドファンディングみたいなもの)を介して調達すること。これらの情報が解禁されていくうちに、バンドの冒すリスクと、そのヒリヒリした緊張感に思わず唾を飲んだ。マヒトのブログやYoutubeでのライブ映像の更新を手がかりに、バンドのアメリカでの動向も細かく追うことができたが言語の通じない海外の人々を相手に、音楽一つで真っ向から向かっていく光景は何かを思わずにはいられない。GEZANがアメリカで味わった経験、見てきた景色そのものが生々しくパッケージングされているドキュメンタリーのような一枚。

GEZAN -BODY ODD feat. CAMPANELLA, ハマジ, LOSS, カベヤシュウト, OMSB - YouTube

GEZAN / DNA (Official MUSIC Video) - YouTube

 

22.2012-2017 / Against All Logic

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ニコラス・ジャーの別名義。今年最もクールに踊れる一枚ではなかろうか。どこか地下室的な冷たい響きと扇情的なループ感が両立していて、頭は冷静なまま踊れるクラブミュージックという感じがたまらん。様々な年代の楽曲をコラージュして、新たな音楽がつくり出されていく興奮を余すところなく味わえる一枚。

Against All Logic - This Old House Is All I Have - YouTube

 

21.qp / 青葉市子

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二年ぶり新譜。本作のリードトラック「月の丘」は昨年リリースされたマヒトゥ・ザ・ピーポーとのユニットNUUAMMの作品に「Moon Hill」という曲名で収録されている。今年の四月に吉祥寺キチムで行ったライブの中で、本作品の中からいくつかの新曲を披露していたが、その時は親密さを強く感じた気がする。例えば「月の丘」は青葉さんが見た夢を曲にしたものらしく、生活の延長線上にこの曲の中の世界があるんだなぁと意外に思った記憶がある。今作もクラシックギターとその唄声だけで基本的に楽曲が成り立っているが、知らない世界に引き込まれるような求心力をこのアルバムの響きからは感じる。今年リリースされたSweet Williamとのコラボ曲「からかひ」も、最高に素晴らしかったので、二人でアルバム出してほしい...。

青葉市子 - 月の丘 - YouTube

Sweet William と 青葉市子 - からかひ (Official Music Video) - YouTube

 

20.Milk / Klan Aileen

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INTERVIEW / Klan Aileen|Spincoaster (スピンコースター) | 心が震える音楽との出逢いを

5月にリリースされた3枚目。松山亮(Vo./Gt.)と竹山隆大(Dr.)の2人編成となって、現行の音楽シーンから距離をとるような独自のスタンスで制作を続けている。今作のコンセプトとして、Susumu Yokotaの『Acid Mt Fuji』を「ロックバンドでやる」というものがあったそう。とりわけリスナーに衝撃を与えたのは10分弱にわたってピアノとドラムのハンマービートが続く「元旦」というトラックだと思う。いったいどこまでマジなのかよく分からないインタビューを読んでいても、バンドの持つ癖の強さが伺える。前作よりも呪術的なVo.が前面に出ているのが、個人的には好み。

Klan Aileen - "脱獄" Live At Fever - YouTube

 

19.Ordinary Corruput Human Love / Deafheaven

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”ポストメタル”というジャンルは、この作品で一つの完成形をみたのではないだろうか...。そんなダサいことを思ってしまうような、素晴らしい完成度を誇る一枚。7曲で1時間2分。10分間を超える長尺曲それぞれが劇的な展開の末にカタルシスを感じさせる構成となっていて、バンドが操るサウンドダイナミクスをこれでもかと見せつけられる。今年出たシューゲイザーのアルバムを含めても一番なのではないかと感じる轟音パートの儚さ、その儚さを突き破った先に顕在化する激情の表現が圧倒的。

Deafheaven - "Honeycomb" - YouTube

 

18.ソングライン / くるり

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くるり「ソングライン」インタビュー|試行錯誤で見出した新たな音と手法 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

前作から4年ぶりにリリースされた新作は、くるりの”歌モノ”サイドをまとめたような温かみを感じる作品。岸田繁の歌声が楽曲を牽引していくような、弾き語りの原型を想起させる楽曲群は、生活の中に溶け込むプレーンさを感じさせる。上記リンクのインタビューを読んで驚いたのは、それらの素朴な印象を感じさせる楽曲のトラック数が、レコーディングの最中で100を超えている点。結果的にPANを極端に振って、各トラックの音を抜けさせたとのことだが...。100を超えるトラックを、聴き手に何の違和感も感じないまま受容させることの難しさを想像すると途方もない気持ちになる。リリースした当初は極端なPAN振りからビートルズを引き合いに出した論評が数多く見られたが、先人へのリスペクトを持ちつつ、かなり意識的に現代にしか鳴らせない音像を模索するバンドの姿勢はすごくカッコいい。

くるり - その線は水平線 - YouTube

 

17.There’s a Riot Going On / Yo La Tengo

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2013年以来のオリジナルアルバム。スライ&ザ・ファミリーストーンの名盤『暴動』からタイトルを拝借している。スライの『暴動』はキング牧師の暗殺を受けた公民権運動の失速、黒人社会の混乱を、静かな怒りによって表現したアルバムだが、Yo La Tengoの『暴動』はタイトルとうってかわってあまりに優しく響く。

このアルバムは、怒りと絶望に取って代わるものを提案している。2013年の『Fade』以来、初の正式なフルアルバムとなる『There's a Riot Going On』は、自由と正気、そして感情の広がりを表現した作品で、共通の人間性とは、解放的であると同時に穏やかに話せるということを宣言した一枚となっている。
- Luc Sante, 2017年12月

Yo La Tengo - "For You Too" (Official Audio) - YouTube

 

16.And Nothing Hurt / Spiritualized

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ジェイソン=ピアースのこれまでの集大成ともいえる良作。全ての楽器の演奏をジェイソンがただ一人で手がけたとは思えない。ゴスペルやブルースの影響下にある楽曲が、地から離れる瞬間の高揚と神秘はSpiritualizedの作品群に共通する魅力だが、その感動はこの作品の中でも存分に味わうことができる。本作品を携えて行ったツアーの後半はアルバムの完全再現であることからも、作品への自信や愛情を読み取ることができた。この作品が最期なんて言わず、また新譜聞かせてほしいな...。

Spiritualized - I’m Your Man - YouTube

 

15.折坂悠太/平成

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前作『たむけ』は、忘れ去られた日本の原風景を一人の詩人が唄いあげるような、ある種のノスタルジアに溢れた作品だったように思う。まるで戦前日本の原風景を想起させるような、セピア色をした、少し掠れた写真に通ずるイメージを漂わせる前作とはうってかわって、『平成』はモダンなアプローチに溢れた傑作だ。アルバムに先だってリリースされた『ざわめき』というEPを聴いて分かるように、折坂悠太の歌声は「合奏」という形態の中でより一層とてつもないダイナミクスを獲得したように思える。ポエトリーリーディングを思わせる「夜学」など、楽曲の幅の広さにも関わらず、ほとんど声の力だけでアルバムに一本の軸を通しているのは驚き。

折坂悠太 - さびしさ (Official Live Video at FUJI ROCK FESTIVAL 2018) - YouTube

 

14.Care For Me / SABA

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シカゴのラッパーSABAによる2nd。モノクロの部屋の中で一人項垂れるSABAの姿が写されたアルバムジャケットのように、本作にはグレーがかった陰鬱な雰囲気が一貫している。SABAはシカゴの改善されない治安や、朋友の死について祈るようにラップする。エミネム『Kamikaze』収録のThe Ringerという曲では3連フロウを無闇に使用するラッパーたちを茶化すような一幕がある(しかもその3連のモノマネが上手くて笑える)が、SABAのフロウはBPMの低い緩やかな8ビートをキチンと3:3:2で分割していくような、割り算として機能するフロウで、ポリリズムの中を漂う浮遊感と2泊4泊のスネアの美味しさを両方獲得しているように思う。メロウなトラックとの相性が抜群に良い。アルバム後に発表した新曲も素晴らしい。

 Saba - LIFE (Official Video) - YouTube

Saba - Stay Right Here feat. Mick Jenkins & Xavier Omär (Official Audio) - YouTube

 

13.The Sciences / Sleep

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なんだこの『劇場版名探偵コナン』に時折挿入されるようなザ・コンピュータグラフィックは...。1月の来日公演の記憶も新しいままに、Thirdman Rechordsから突如リリースされたSleepの新譜。Sleepの音は、ジャンルを超越した独自性を獲得している。アタックが極端に潰れたGt.とBa.の音が唸りをあげて迫ってくるような体験は、他のバンドでは味わうことができないだろう。本作品も、音が波の形を成して押し寄せるような音像に圧倒されるのみ。何はともあれこのアルバム、どれだけ音を上げても全然耳が痛くない最高のサウンドプロダクションなので是非爆音で聴いてみてほしい。

Sleep - Marijuanaut's Theme - 2018 New song - YouTube

 

12. Moon River / Frank Ocean

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2016年には『Blonde』を発表し、2017年には複数の新曲を発表していたフランク。2018年はMoon Riverのカバーを発表するのみとなったが、これがとんでもなく素晴らしい。これまで何人もの人々がカバーしてきた名曲を、Frank Oceanにしか出来ない解釈で見事に再構築してみせていると思う。子供や女性を思わせるようなオートチューンの歌声にフランク自身の声が混ざり合う瞬間の多幸感ときたら…。あらゆる立場の人間、あらゆる時代の人間が唄っているような多声性にすごく感動させられた。

Frank Ocean - Moon River - YouTube

 

11.Virgin Graffiti / シャムキャッツ

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ジャケットめっちゃ痛そう...。前作『Friends Again』では4ピースバンドとして、なんの不純物も混ぜないプレーンなロックを響かせていた彼らの新境地。一年という短いスパンでリリースした新作は、Vo.夏目さん曰く「綿菓子みたい。軽くて甘くてキラキラしてる。そこにライム絞った感じ」とのことだが、この感覚が聴き手にも余すところなく伝わる快作だった。前作と比較すると楽曲の幅も多岐に亘り、かなりウワモノが追加されたようなアレンジを聴くことができる楽しさがある。

Virgin Graffiti – siamese cats official web

上記のアルバム特設サイトの中に、メンバーのオフィシャルインタビューが掲載されているが、印象的なのは藤村さんの「いわゆる『USインディーを通ってきました』的な感じじゃなくて、日本の匂いみたいなのがにじみ出るような曲が並んでてもいいんじゃないか、と。」という一言。特に菅原さんがVo.をとる曲において、80年代邦楽シーン的なニュアンスを匂わせる演奏が沢山あって新鮮だった。男の子だからBIG CARって曲が一番好き。

シャムキャッツ - カリフラワー Siamese Cats -Cauliflower (Official Audio Video) - YouTube

 

10. Skylight / Pinegrove

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元Real EstateのギターDucktailsが告発されるなど昨年から続く#Me Too運動は音楽界にも波及した。Pinegroveについても前作リリース後に贈られた様々な賛辞が忘れ去られ、バンドの評価や信頼が地に墜ちるほど、かの事件がファンに与えた落胆は大きかったように思う。作品は作品であり、作者から切り離されて考えられるべきであるものの、落胆や失望抜きにこの作品を聴くのは難しい。この作品に純粋な評価を下すのは本当に困難なことだと思う。ただ、それもこの作品の聴かれ方/受容のされ方として全然アリなんだと思うようになった。問題の経緯については以下のリンクがとても詳しく情報をまとめて下さっている。

[FEATURE] 寛容と共存〜Pinegroveと新作『Skylight』について | Monchicon!

前作は二つの四角形が交わるようなジャケットで、その図形が象徴するような音楽性の親密さにいたく感動したのを憶えている。今作のジャケットは中央に水色で塗りつぶされた四角形が一つ。下地に赤色が微かに見える。ジャケットの外周にも大きな四角形を認めることができる。この作品は前作のように他者に対して開かれた親密さではなく、Evanが直面した孤独について、そして自分を包み込むあらゆる存在への祈りが込められているように思う。

 

09. 무너지기(Crumbling) / 공중도둑(Mid-Air Thief)

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昨年、"公衆道徳"名義で発表した作品が話題となった韓国の宅録アーティストの新譜。新たな名義は"空中泥棒"で、前作同様Lamp主宰のレーベルBotanical Houseから国内盤がリリースされる。今回の作品には同じく韓国の宅録アーティストSummer Soul(19歳!)が参加。情報量の多い楽曲が並んでいるのは前作同様だが、森は生きているとCorneliusを掛け合わせたようなプログレ的とも言える曲の展開、立体的な音の組み立てには驚くばかり。ライブしたりしてたら見てみたいな。

공중도둑(Mid-Air Thief) - 무너지기 (Crumbling) (2018) [Full Album] - YouTube

 

08.(after) / Mount Eerie

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『Crow Looked At Me』『Now Only』の楽曲をクラシックギターで弾き語るライブ盤。Mount Eerieの近作は、失った妻に対するあらゆる感情の真摯な吐露に終始している。それは歌にするにはあまりにパーソナルなことだったり、彼らと時間を共有していないものにとっては意味が取り辛く退屈に感じられることもある。しかしそれらすべての瞬間が彼女自身だったのだろう。失った存在を忘れてしまわないと自分が壊れてしまうものの、自分が忘れてしまうとその存在はどうなってしまうのか分からない。圧倒的なジレンマの中を彷徨うPhilの歌声は、元の音源にはないリバーヴ感とともにいつまでも胸に残る深い哀しみ聴き手に感じさせる。

Mount Eerie - (after) [full album] - YouTube

 

07. A Brief Inquiry Into Online Relationship / The 1975

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1stから2ndの音楽的深化にも驚いたが、今作の衝撃はそれを遥かに上回る。夜の街のネオンが似合う耳ざわりの良いポップスを並べた1stから、R&Bの流れを取り込んだ2ndへの歩みをみれば、彼らが優れた耳を持ち、聴いた音を再現する力に長けていることが理解できるだろう。しかしそのカメレオン的な姿勢と、バンド自体のキャラクターが相まって、いわゆる"ハイプ"的な扱いを受けていることも多々あったように思う。今作はその"ハイプ"さを突き詰めに突き詰めた、皮肉の効いた傑作。前作までの音楽性を引き継ぎながらアンビエントやテクノを取り込んだ楽曲や、Bon Iverさながらオートチューンをバリバリ効かせた楽曲をごった煮のようにアルバムにぶち込む節操のなさ(褒め言葉)には驚くばかり。一つ一つの模様を切り取ってみればどこかでみたようなものだが、その種類が何十、何百と組み合わせを増していくごとに凄みを帯びてくる。最初は可愛らしかった小さな怪獣が、周りの怪獣を食べていくうちに本当に手のつけられない化け物になっていくような怖さがこのバンドにはある。

The 1975 - Sincerity Is Scary (Official Video) - YouTube

 

06.Yawn / Bill Ryder-Jones

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バカみたいなジャケットが好きすぎる...。元Coralのギタリストのソロ第4作。これまでの作品もすごく良い作品だったが、今作は間違いなく最高傑作。Red House Paintersを彷彿とさせるスロウコア/サッドコア的な広がりのある音響に、どこか諦観を感じさせるVo.が最高にクール。そのくせギターの音がマジで感傷的で、そのギャップというかバランス感覚に完全にやられた。ともすれば懐古的ともとられてしまうノスタルジックな音像を、高い楽曲の完成度と歌メロの良さで聴かせ続ける硬派な一枚だった。

Bill Ryder-Jones - And Then There’s You (Official Video) - YouTube

 

05.Old Days Tailor / Old Days Tailor

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OLD DAYS TAILOR インタヴュー―〈日本語で歌うこと〉への挑戦 | Mikiki

笹倉慎介、伊賀航、岡田拓郎、谷口雄、増村和彦、濱口ちな、優河といったメンバーからなるスーパーグループの1st。果たしてこれが2018年に出た音源なのかと疑うほど、普遍性の高い心地よさを備えた楽曲が連続する。メンバーの錚々たる顔ぶれを見ても分かるように、先人たちの音楽への多大なリスペクトを感じる音楽性ながら、どんな季節であれ、どんな時代であれ寄り添ってくれる親密さも感じる名盤だった。このアルバムの中に「昔から 何もない海を見ていると なぜだかありもしない記憶に 胸がきしむのです」という歌詞があるんだが、それがとてつもなく好きで...。おじいちゃん家の裏の海を見ていたことをブァッと思い出したよ...。

OLD DAYS TAILOR - 晴耕雨読 - YouTube

 

04.Sleep Like It's Winter / Jim O'rourke

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生涯で最も好きなアンビエントアルバムかもしれん。俺の知らない聴覚が目覚めるのを感じる。聴覚が目覚めるってバカみたいな表現だけど、今まで認識していなかった音を聴くことが出来ているみたいな感覚にもっていってくれるアンビエントって初めてかもしれない。とにかく高音も低音も音が”廻る”時のトレモロ感が最高で、これはもうお耳にとっての幸福体験をもたらすお薬に近い。不穏なイントロから始まり、特にアルバム20分過ぎからの仄かな光が差すような展開はものすごく劇的。タワレコのインストアと青山のレコ発両方いったけど、全身に鳥肌立ちまくりの壮絶な体験が出来た。レコ発はアルバム音源を拡大した90分以上のライブ。録音して持って帰りたいくらい圧巻のライブだった。

Jim O'Rourke - Sleep Like It's Winter - YouTube

 

03.WHALE LIVING / Homecomings

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アルバムを年間ベストに選ぶ基準は”ああこれは一生聴くなぁ”という確信に近い直感が頼りな気がするが、このアルバムは誇張なしで本当に一生聴くと思う。今までの舌足らずな感じのする英詩のイメージが、良い意味で覆された。『リズと青い鳥』を見た時に、あぁ素敵な曲と思ったSongbirdsがラストにくるのも最高。なんかもう「良い映画観た~みたいなアルバムでめっちゃ幸せになるんだよね~」という、ギャルみたいな感想しか出てこない。若き荒井由実を思わせるエヴァーグリーンな雰囲気に脱帽。そしてLPでの発売を熱望(押韻)。

Homecomings "Blue Hour"(Official Music Video) - YouTube

Homecomings - Songbirds(Official Music Video) - YouTube

 

02.Twin Fantasy / Car Seat Headrest

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これはもう言葉が要らないでしょう...。一聴しただけで全てが分かる。瑞々しいとしか言いようのない各パートの重なり、サウンドの妙よ…。Bodysとか初聴きの時たまげたな…。ドラムの音が半端なく良い。2011年のオリジナル音源と聴き比べても、ウィル・トレドの遂げた圧倒的な飛躍がすぐ分かる。国内盤解説は珍屋の松林さんが手がけているが、その解説が本当に詳細で素晴らしい。買うなら絶対国内盤。「うっわこれ良い曲だな…ってまだBeach Life-In-Deathかよ」は聴いた人全員がたどる道…そしてFamous Prophets(Stars)で全員果てたはず…。ロックは死んでいないぞ…。

Car Seat Headrest - "Beach Life-In-Death" (Official Audio) - YouTube

Car Seat Headrest - "Famous Prophets (Stars)" (Official Audio) - YouTube

 

01.針の無い画鋲 / 土井玄臣

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大人になって聴いていて筋肉に力が入らない音楽が好きになった。今年はこのアルバムを本当によく聴いた。自分の今日を認めて、明日を静かに祈りたい時にここまで生活に溶け込んでくれる音楽はなかったように思う。何事も起きない繰り返しの毎日の中で、少しでも虚しさを感じた時に、このアルバムに沢山救われたように思う。エリオットスミスは、マスタリングの際に低音域をかなり意識的にカットして声から肉体性を排除していた、みたいな話を読んだことがあるが、この作品のファルセットからもおしつけがましい”肉体”の存在は一切感じない。アルバムラストを締めくくる「マリーゴールド」まで、ドラムのビートは一切なし。一人でいる時にぽつんと浮かんでくるとりとめのない考えのように、自分の近くにずっとある、そんな音楽が結局一番良い。

土井玄臣 - ハート / Motoomi Doi - Heart - YouTube

2017/12/13 Matsuri Session / Zazen Boys

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今年の10月、Zazen Boys吉田一郎の脱退を発表した。脱退に対しての個人的な感想は、驚きと悲しみが半分、納得とこれからの道筋への期待も半分といったところだった。

2015年に吉田一郎不可触世界名義で発表したソロデビュー作『あぱんだ』は、チルウェイブ(死語?)的な音像に、醒めた子供のような歪なラップがのっかった、"ベーシスト"という枠には収まりきらない才能がはっきりと表れている作品だった。『あぱんだ』とは"全集"といった意であるそうで、そのタイトル通りあらゆるアイディアを詰め込んだ作品は聴き手に少し散漫な印象を与えたかもしれないが、それと同時に一人のアーティストとしての可能性を多分に感じさせるものだったと思う。要するに吉田一郎ザゼンを抜けることは納得だし、楽しみでもあるということです。

 

しかし同時に吉田一郎が抜けたザゼンがあまり想像できないなぁというモヤモヤした思いは胸に残り…。その思いを抱えたまま最後のライブを見届けた。

 

Zazen Boysはこれまで2度のメンバー変更を経験した。1度目はDr.のアヒトイナザワの脱退に伴う"柔道二段"松下敦の加入(2005年)。2度目は"町田のヤンキー"ことBa.日向秀和の脱退に伴う吉田一郎の加入(2007年)であった。この10年間で吉田一郎Zazen Boysのサウンド面にどのような変化をもたらしたかについては、スタジオアルバムは勿論だが、ライブ録音によってよりはっきりと伺い知ることができる。

 

日向秀和期のライブ音源として秀でているのはMATSURI SESSION LIVE AT YAON(2006年)だろう。アヒトイナザワの手数の効いたドラミングに代わり、松下敦の一音一音のドスのきいたドラミングがバンドに馴染んだ頃の録音で、日比谷野外音楽堂ならではの会場の開放感と高揚感がパッケージングされたようなとても素晴らしい作品だと思う。個人的にはこの作品が前期ザゼンボーイズの集大成的作品だと思うが、現行の体制に比べると松下敦のドラムスの上を各楽器のフレーズが流れるような印象を受ける。

 

吉田一郎松下敦の音が邂逅したこれ以降の作品から後期ザゼンボーイズの幕は明け、明確にバンドの目指す方向性に合致する形でサウンドも変容していく。初期はスタインバーガーのヘッドレスベースを、後期はサイケデリズムのジャズベースを使用していた吉田一郎のサウンドは、松下敦の重いドラミングを真正面から受け止める強さを持っていた。吉田一郎のプレイは執拗なまでに反復されるフレーズの中で左手を使ってサボれるフレーズでも、全て右手でピッキングをする実直なものだが、そのフィンガーピッキングの音は加入当初から松下敦のドラミングに呼応してほぼスラップのそれに近いようなかなり硬質的でパーカッシブな響きを持っていた。

松下敦吉田一郎のプレイ在籍時のバンドの変化と円熟はLive At Fukuoka Omuta Fuji(2014年)で味わうことができるが、曲間に向井秀徳が入れる唐突なブレイク(…?あのジャッ!ってやるやつ)の"一撃で殺す"感じは前期にはない圧倒的な強みだったと思う。向井秀徳がシーンに呼応しながらKimonos(Talking Heads的なプリミティブな反復性があって聴いててめっちゃ気持ち良い。)等の活動をバンドに還元しつつ、音楽のリズムを突き詰めていく中で、一撃の重さみたいなものが求められるのは当然の話で、そう言った意味ではこの10年間でバンドを進化させた、というかバンドの潜在的な可能性を引き出したのは吉田一郎松下敦リズムセクションだったように思う。

 

前置きがグダグダと長くなったが、ここからライブの感想を書く。Fender Telecaster→RIFF MANという鬼のような流れで始まったライブだが、その時点でメンバー全員の顔つきがいつもと全く違うと感じたことが印象に残っている。バンドという一つの塊が消えていく、その虚しさと哀しさがメンバーの顔にハッキリと表れていたように思う。確実にあの会場には何か姿の見えないものが死んでいく空気が充満していたし、その雰囲気を真摯に抱えたまま進行したライブだからこそ、今まで見たザゼンの中でも一番にカッコ良いライブだと思った。

今回のライブは曲間のアレンジが最小限に抑えられていて、その点も印象的だった。ザゼンボーイズのライブはツアー毎に今までの楽曲が解体/再構築されていく。毎回生まれ変わったように新鮮な驚きを与えてくれる昔の曲群が、今回は音源とほとんど変わらない形で提示されていたように思う。個人的にはその立ち返りが、バンドの原初の姿への回帰に感じられてよりグッときてしまった。もはや先も少ない、この4人で鳴らす音への集中と自信がステージには漲っていた。向井秀徳がほとんどの曲の前で、次に演奏する曲名を告げるようなMCをしていた。

ライブ終盤、自問自答を始める前に向井秀徳吉田一郎ザゼンを抜けることを改めて発表し、吉田一郎の方を振り返らずに「ようやった!」と声をかけた。その後に始まる「自問自答」は今まで見た、聴いたどの自問自答よりもカッコよかった。吉田一郎がカッティングしながらラップする向井の後ろ姿をずっと見ていた。カシオと松下敦は微笑むような表情で吉田一郎を見ていた。

 

今回の開場後のSEはずっとLed Zeppelinが流れていて、豊洲ピットの広さも相まってステージセットがグッと纏まっているように見えた。「袈裟(法被?)を着たツェッペリン」というのは向井が自身のバンドを例えた言葉みたいだけど、僕の中で吉田一郎さんのいるZazen Boysは本当にビートルズツェッペリンみたいに、「この4人でなければ意味がない」と思わせるような唯一無二のすごくカッコ良いバンドでした。本当にありがとうございました。これからのZazen Boys吉田一郎の行末に幸あれ!

 

年間ベストアルバム(2017)

今年は本気で気に入ったアルバムが50枚超えてたので、ベスト50で選びました。アルバム一枚につきちょいちょいコメントみたいなん入ってますが、備忘録程度のちょこっとしたもんなので、批評的価値は0です...。読んで下さった方が一枚でも知らないアルバムを気に入ってくれたら、いつもの恩返し的な感じになって最高だなと思います。

 

50.Taster / Hovvdy

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 オースティンのドリームポップ、ベッドルームポップデュオHovvdyの1st。SparklehorseやらPedro The Lionを思わせるような内省的でミニマルな音作りが個人的に超ツボで、聴きまくった。アルバムを通してあまりに小粒な楽曲が並ぶ印象で、トータルとして山場があまり感じられないからこの順位だが、愛すべき小粒感というか、まぁ山場とか特にいらないよね、人生にも山場ってそんなにないもんね、みたいな感じになってしまう哀愁のあるユルさ。来年の一月だか二月に新譜出るみたいで、そっからの先行トラックも良いんだ...。俺はお前らのことすげぇ好きだぞ。

Hovvdy - "Problem" (Official Music Video) - YouTube

Hovvdy - "Petal" (Official Video) - YouTube

 

49.Nightmare Logic / Power Trip

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音が鎌首の頃のPANTERAっぽくて良い。「最近音楽がどんどんビート重視になってくけども、PANTERAのモスクワでのライブ映像を観ながら、ダレルと一緒にヨダレを垂らしたあの頃の気持ちも、アタイは忘れたくないよ。」そんなあなたにこの一枚。8曲33分で一緒に首を痛めよう。Vo.がハードコア畑から出てきてる感じがするのがメタルメタルするだけで終わってなくて好感持てる。

Power Trip - "Firing Squad" - YouTube

 

48.Care / David Bazan

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Pedro The LionのDavid Bazanのソロ4作目。今作はほぼドラムマシンとシンセで曲が構成されてて、最初は物足りないなぁなんて思っていた。しかしよくよく聴きこんでみるとシンセの音も無機質なフリして温かいし、リズムとシンセフレーズがシンプルだからこそVo.から哀愁が伝わってくるなぁと改心。何よりこの人の声と歌メロ本当に好きだなぁ。Pedro The Lionの再結成も楽しみ。

David Bazan - Care - 01 Care - YouTube

 

47.Elektrac / Shobaleader One

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スクエアプッシャーが自身のキャリアをバンドで再現するという、トンデモ盤。このアルバムがこの順位である理由はたった一つ。実際観たライブがえげつなかったので音源だけで満足出来ないカラダになってしまったのだ...。人は脳の処理能力を超えることを眼前で繰り広げられると、爆笑してしまう生き物なんだと知ることができたので、今年はまた一つ賢くなれました。スクエアプッシャーのベースは言わずもがなだけど、ドラムの人上手すぎねぇかホントに。あんなにピッチの高いスネアでグルーブのツボを北斗神拳ばりについてきて悶絶。下のリンクのライブ映像で五感を侵略されてくれ…。

Shobaleader One - Boiler Room In Stereo - YouTube

 

46.A Deeper Understanding / The War On Drugs

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アトランティックレコード移籍後第一作とだけあって、大陸的なスケールが増した印象。音もすごく気持ち良い。ただ個人的にはこのアルバム、聴き始めた当初は微妙にしっくりこなかった...。曲の中のクライマックスの迎え方として前作のギターでグイグイ牽引していく感じが好きだった分、今作のウワモノがガッツリ足される壮大な感覚にビックリしたのと、その分リズムパターンが抑え目になった点が聴いててムズムズした記憶。恐らく前作が好きすぎてそのイメージを捨てきれていないんだろう。力まず聴けるタイミングまで置く。しかしアメリカのシーンってこういう音楽性のバンドがブレイクしてスタジアム級になるんだもんなぁ〜〜すげぇ羨ましいなぁ〜〜

 

45.Post Self / Godflesh

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 インダストリアルメタルの重鎮の8作目。Post Selfというタイトルが示す通り、これまでの音像を更新するような意欲的な作品だと思う。別プロジェクトのJesuで聴くことのできるような解けるようなギターの歪ませ方もチラチラと伺わせつつ、基本的にはエグい塊を転がし続けるみたいな音像なんだけど、不思議と心地良く聴けるから不思議。ポストメタルにありがちな音の豪雨をただただ浴びさせられる系にまではいかず、ちゃんとノレるグルーヴが保持されてるのもすごく良い。

Godflesh - Post Self - YouTube

 

44.Vu Ja De / 細野晴臣

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 細野さんの新譜はとにかく音が良くビックリした。オールディーズのカバーが中心の一枚目とか聴くとそれぞれの楽器の録音の良さに本当に驚く。個人的に良い録音って「その空間に残された余白も録ってる」っていう感じを受けるんだけど、今回はまさにそれだなぁと思う。Vu Ja Deというのは「今まで当たり前と思っていたものが、全く違うものに感じられる」みたいな意味らしい。確かに昔の楽曲が今の音響機材や感性をもって鳴らされているだけで、こんなにも新鮮で面白いもんなんだなぁと感動。

 「Susie-Q」at 岩手公会堂 ~細野晴臣“リリース記念ツアー”スペシャルムービー企画「昨日の1曲」 - YouTube

 

43.Beast Epic / Iron & Wine

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 Iron & Wineの新譜は夏の終わりにピッタリだった。広島から東京に帰る新幹線で、窓の外を見ながらこのアルバムを聴いたことをよく覚えている。すごく良い時間だった。この音楽の風景との親和性はすごく高いと思う。調べてみるとIron & Wineはサースカロライナ州やフロリダ州で育った人らしい。500日のサマーの監督が撮ったGiftedという映画でも誰もいない砂浜とか、まっすぐな地平線に落ちて行く夕焼けとかフロリダ州の自然がすごく印象的に映されていたけれど、歌声やサウンドの先に自然との融和を感じさせて、それが国境とかものともせず日本に住む自分に響いてくるのはすごく良いなと思います。

Iron & Wine - Call It Dreaming [OFFICIAL VIDEO] - YouTube

 

42.Damage and Joy / The Jesus and Mary Chain

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もはや伝統芸能。このアルバムの毒にもならず、薬にもならない感じが一周回って愛らしい。音楽性に進化も深化もあったもんじゃないし、懐古アルバムと断じられても何の反論の余地もないんだろうが、「Always Sad」とか「Can't Stop The Rock」とかいう曲名をファンがニヤニヤ迎えるバンドって他にいるのかなとふと思う。「なんか楽しそうだし、良いんだからよくね?」くらいの温度でダラダラ聴こう。

The Jesus And Mary Chain - Always Sad (Official Video) - YouTube

 

41.Out in the Storm / Waxahatchee

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個人的にこの人の曲を聴くとスーパーカーを聴いてるときみたいな爽快感を味わえるので良いなぁと思う。前作は曲と曲の間のクオリティが乖離しまくってた記憶があるが、今作はアルバムとして一本の流れを感じる。Julien Bakerもそうだけど、声量のある女性Vo.って多少サウンドが抑えになる局面があっても安心して聴けて良い。

Waxahatchee - Silver (Official Music Video) - YouTube

 

40.Together At Last / Jeff Tweedy

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WilcoのJeff Tweedyの弾き語り盤。このアルバム、一枚で二度美味しいのは「Wilcoのあの曲って意外とこんなにシンプルなのね」という楽しみ方も出来るし、「逆にこんなシンプルな曲があのアレンジでああなんの?」という楽しみ方も出来るのだ...。まぁそんな当たり前のことは差し置いても気の良いおじちゃんが部屋で唄聴かせてくれるくらいの脱力感で聴けるのでオススメ。

Jeff Tweedy - "Laminated Cat" (Live at Solid Sound) - YouTube

 

39.Ty Segall / Ty Segall

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 Ty Segallがここにきて自身の名を冠したアルバムをリリースしたこと自体になにかクるものがある。タイさんの一連のプロジェクトで一番カッケェと思ってたのはライブ盤以外だとFUZZの1stなんだけど、今作はそれを超えてきた。Break a Guitarのリフに拳を突き上げ、Warm HandsのBlue Cheer的なゴチャついた展開に完全にやられた。Talkin'みたいな穏やかな曲も混ぜつつ、基本的にはリフで引っ張って行く姿勢も潔すぎて痺れる。そういえばこのアルバムもアルビニ録音か。

Ty Segall & The Freedom Band - Warm Hands - Slab Sessions @Pickathon 2017 S03E03 - YouTube

 

38.Lemon Cotton Candy Sunset / Richard Edwards

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近所のレコード屋さんのポップを見て買った。プロデューサーはElliott SmithBeck、Kurt Vile等を手がけた方だそうな。聴いた感じでいうと昨年のAndy ShaufやJohn K. Samsonあたりの作風に近い。三年間の闘病生活の間にバンドも結婚生活も失ったらしいが、鬱々しい印象はあまり感じさせない。曲単位のパンチの弱さは否めないが、アルバム単位で聴いているとすごく感動的。時折曲の間に挿入される子供の笑い声とか女性の声の意味が分かればもう少し深くこのアルバムを聴けるのにと思う。

Richard Edwards - Lil Dead Eye-d (Official Audio) - YouTube

 

37.Urbs In Horto / Twin Peaks

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Twin Peaksのライブ盤。良い意味でおバカなバンドが大好きなので、ドツボに嵌った。自分たちの音楽が大好きそうなのも本当に癒される。もうバンドという形態も時代遅れな感じがする中で、しっかりメンバー全員楽しそうに演奏してくれるだけで好きになってしまう。ライブ音源だけでもその楽しそうに演奏してる様子が伝わってくるし、それに応えるオーディエンスの歓声もスゲェ。

個人的にこのバンドからはLibertinesに似た空気を感じるんだ…。フロント3人が取っ替え引っ替えVo.を担当するのも飽きなくて良いなと思う。マジでこのバンド入りたい。

Twin Peaks - Wanted You - Live From Lincoln Hall - YouTube

 

36.Drunk / Thundercat

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変態ベーシスト監修の爆裂AOR。普通に考えたら好みが真っ二つに分かれそうなことをやってると思うんだけど、そのキャラクター含めて圧倒的な支持を獲得していてスゴイ。アルバムは全編通して80年代ライクなテイストなんだけど、そりゃここまで弾いたら時代とか関係なくカッコ良いわと思う。Uh Uhとかどういう発想で弾いてるのか本当に謎。あのフレージングが頭で考えたものだったらどうかしてるし、手癖で出てくるようでも頭おかしいと思う。ライブを見ることができなかったの、一生後悔してる。

Thundercat - Them Changes - Later... with Jools Holland - BBC Two - YouTube

 

35.Strange Peace / METZ

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3枚目はアルビニ録音の好盤。このバンドのリフ結構変わってて好き。筋骨隆々な男が脱臼してるみたいな、違和感のある妙な展開をリフの中に感じるので何回反復されても飽きなくていい。ライブの様子も必然性を感じさせるパフォーマンスがすごく良い。リアムも褒めてて意外に感じた。

Metz Raw | Raw Materials | First Play Live - YouTube

 

34.Migration / Bonobo

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冬に合うテクノは最高。新年早々のリリースにもかかわらず、フジやら単独公演決定やら、一年通して話題に事欠かなかったのは作品自体の持つ力の証明だと思う(なぜ東京公演がFJMと被ってしまったのか…)。アルバム全体に流れる澄んだ空気がすごくスマート。バンドセットのライブ映像たまらなく良いな…。

Bonobo "Kerala" / Live at Fuji Rock Festival '17 - YouTube

 

33.This Old Dog / Mac DeMarco

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Mac DeMarcoの新譜はグッダグダな泰安洋行といった感じで、夏の夕方からビールを飲むのに最適。このアルバムは前作に比べると曲の作りもグッと簡素(あれ以上簡素というのもスゴイが…)になっていて、その分リズム重視になってると思う。今までも公言していたエキゾチカ〜細野晴臣トロピカル三部作あたりの影響が最もはっきり出た作品なんじゃないか(ジャケットにYMOが隠れているのも良いですよね)。年明けの単独公演も楽しみ。アンコールでの騒ぎも想定済みなので今度は大丈夫だろう。

Mac DeMarco - Dreams From Yesterday (Live on KEXP) - YouTube

 

32.2 Tone / 蓮沼執太&U-zhaan

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このアルバムは聴いててすごく「新しい!」と感じた。デジタル、アナログ問わず様々な楽器が用いられる中、ユザーンのタブラがこんなにも有機的に響くのかと驚いた。リズム楽器としてもリード楽器としても活躍していく万能さが個人的にすごく意外で新鮮だったので繰り返し聴いた。蓮沼執太とユザーンだけでも面白いのに、客演に坂本龍一、Deventra Banhert、Arto Lindsayを招いてるめちゃくちゃ豪華な一枚。

蓮沼執太 & U-zhaan - Green Gold Grey feat. Arto Lindsay (Official Video) - YouTube

 

31.You're Not as ___ as You Think / Sorority Noise

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EMOという括りの曖昧さを脇目に、大股で自分たちの道を進んでいく会心の新譜。刻むイントロからサビで跳躍する「No Halo」を筆頭にアルバム通してダイナミクスのレンジが広くてものごっつテンション上がる。9曲28分と尺が短い中で、起伏に富んだ展開で駆け抜ける一枚なので悪いワケがないんだ。

Sorority Noise (Session #3) - "Leave The Fan On" / "No Halo" / "A Better..." Live at Little Elephant - YouTube

 

30.Just Another Diamond Day / Mutual Benefit

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今年Turntable Kitchenというレーベルから出てた一連のカバーアルバムの中からの一枚。他にはYumi ZoumaがOasisのモーニンググローリーを、デスキャブのベンがTFCのBandwagonesqueをカバー。すごく面白い企画だったと思うが、やはり元のアルバムがどれも名盤中の名盤なのでなかなか難しいんだろうなと邪推。三作の中で最も原作を消化して自分のものにしていたのはMutual Benefitだと感じた。柔らかく優しい音作りは元のアルバムにすごくマッチしていて、そこにアンビエント的な新しい響きも加わっているので単なる企画ものの域をゆうに超えていると思う。うちのお母さんも気に入ってた。

Mutual Benefit - Diamond Day (Vashti Bunyan Cover) by Turntable Kitchen | Free Listening on SoundCloud

 

29.Nostalgia / Okada Takuro

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森は生きているの岡田拓郎の初ソロ作。アルバムリリースにあたって柴崎祐二さんが記したコラム以上の文章は書けないが、とにかく岡田拓郎の詞と音楽が再び表舞台に戻ってきたことに乾杯したい。

Okada Takuro - Amorphae (Feat. Mifune Masaya) - YouTube

 

28.Crack-Up / Fleet Foxes

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良ジャケ。Fleet Foxesの作品って圧倒的なコーラスワークをはじめとして壮大な音像に身を任せられて堪らなく好き。今作が更に素晴らしいのは、前作までの「ちょっとこのスケールのデカい感覚にも慣れてきたな」みたいなダレ場を全く感じさせない展開にあると思う。どなたかが今作はRadiohead的だと仰っていたのを聞いてなるほどそうかと納得した。恐らくまだ全容掴めてないので、ライブまでに聴きこみまくる!

Fleet Foxes - Third of May / Ōdaigahara (Lyric Video) - YouTube

 

27.ar / 吉田ヨウヘイgroup

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活動休止の時期を経てリリースされた4枚目。1月に「分からなくなる前に」のMVが公開されてから新譜に対しての期待値がものすごく上がっていたが、良い意味で裏をかかれるような作風。これまでのYYGのイメージは、西田さんのマスロック的なフレーズに、プレーンな歌声が乗る、その不思議なギャップがフリージャズ的な要素も相まって妙なデカイ塊となっているといった感じだった(何を言ってるんだか…)。今作は地に足がついたという表現が合っているか分からないが、とにかくバンドが自然体であることを真っ先に感じさせる。「多分次作がもっとハンパないことになる」と俺の中の俺が告げている。

吉田ヨウヘイgroup - トーラス - YouTube

 

26.Lotta Sea Lice / Courtney Barnett & Kurt Vile

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観音開きのレコードなんてアタイ初めてだよ...。このアルバムについてはOver EverythingのMVが公開された時点で勝負あり!みたいな感じだった…。本当に「楽しそう」という感想が第一で、そこにくっついてくる批評的な目線はもう野暮だと思ってしまう。ライブ映像を漁ってみるとまぁ予想通りラフというか、気ままに演奏しているんだけど、テイクによって曲の響きが結構変わってて引き出しの多さにビックリする。

Kurt Vile and Courtney Barnett - Over Everything (Live on The Current) - YouTube

 

25.The Ooz / King Krule

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昔から怖い音楽は苦手だったが、久しぶりに得体の知れないものに出くわしたと感じさせられたのがKing Kruleの新譜。22歳の若者が何を聴いていればこんな音楽を生み出せるのか…。その不気味なまでに深いルーツを辿ってみたいなぁと思わせる、めちゃくちゃクールな一枚だった。このアルバムに関しては多分まだ入り口に立っただけで、怖くて中に進めてない感じが拭えないのでベストに入れるのも烏滸がましいですが…ちゃんと聴き込んで枝分かれする要素も掴みたいです…。

King Krule - Dum Surfer - Later… with Jools Holland - BBC Two - YouTube

 

24.Impermanence / Peter Silberman

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アンビエント調のギターにのせて、しっかり祈るように歌ってくれる一枚。この"祈るように"という要素ってめちゃくちゃ大事だと思う。なんかワケのわからんこともある生活の中で、真剣に何かを祈ることの大切さよ…。アルバム後半、Ahimsaという曲で繰り返し唄われる"No Violence Today"という歌詞には「いやもう本当にそれな〜!?」と俺の中のギャルも完全同意。

Peter Silberman - "New York" - YouTube

 

23.Sounds That Escaped / Mikael Lind

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昨年出たEPに引き続き、音が"降ってくる"感覚のアンビエントで完全にノックアウトされた。曲の中盤以降に訪れる"ジリジリ"したノイズがこの世とあの世の繋ぎ目をこじ開けてるみたいな音ですごく好き。今はデジタルでのリリースのみらしいけど、反響次第でフィジカルリリースするみたい。今年は眠る前にグレングールドのブラームス間奏曲集とこのアルバムをよく流していたんですが、いずれも安眠できるのでオススメです。あと無印良品のパジャマもオススメ。すっごい楽。

Sitting Down Looking Up by Mikael Lind | Free Listening on SoundCloud

 

22.Cigarettes After Sex / Cigarettes After Sex

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 ここまで引き算に徹したドリームポップって意外となかったんじゃないか。音数を限りなく絞ってるおかげで、ベースのコード感だけで全体が支えられる。中高域はVo.とギターのアルペジオ、シンセを重ねるだけの展開なのに聴いててこんなに心地よいのは何故だ。中性的な響きを持ったVo.の声もすごくクールだと思うし、モノクロームで統一されたバンドのイメージもミステリアスさを感じさせる。割とどこを切っても同じような金太郎飴アルバムだと思うが、良いもんは良い。

Snapshots | Cigarettes After Sex - Affection, Apocalypse, live @ La Maroquinerie – ARTE Concert - YouTube

 

21.Turn Out The Lights / Julien Baker

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Matadorからのリリース!「哀しみの」とかいう枕詞が沢山ついてまわってることからも分かるけど前作より悲痛な印象を受ける。「Appointments」の後半とか「割れちゃうよ...!?」ってくらい声張って歌ってくれるのすごく良いです。ライブ映像見れば分かるけど足元のルーパーで音重ねて楽曲展開させていくので基本的な楽曲構造自体はシンプルなんだけど、ここまで惹きつけられるのは歌声の力なんだろうな...。

Julien Baker - "Appointments" (Official Video) - YouTube

 

20.Last Place / Grandaddy

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今までまともに聴いたことなかったので、このアルバムが初めてのGrandaddy体験だったが、カムバック作とか関係なしにめちゃくちゃ音も良くてユニークで、本当にカッコいいと思った。バンドの復帰作って昔からのファンの方にとっては嬉しさ半分、不安半分みたいな感じなんだと思うけど、全くフラットな立場で聴いたワタクシが感動したんだから、昔からのファンの人も納得するような作品だったのではないだろうか...(オマエがナンボのもんじゃいと言う話だが...)。

Grandaddy - Way We Won't - YouTube

 

19.FIRE / トリプルファイヤー

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自分の中で年間ベストの順位とか特にこだわりはないんだが、トリプルファイヤーの新譜だけは「いやもうちょい上だな…」みたいな感じでズルズルとここにきた。試聴機でこのアルバムを聴いていて、「中一からやりなおしたい」でベースが3拍子から4拍子に切り替わり、Aメロに入った瞬間購入を決意。Aメロのベースリフがカッコ良すぎないか…?歌詞も今までの作品に比べてかなりシリアスな響きになっていると思う。というか社会に対する行き詰まり感の吐露に共感できるようになった。本作はパーカッションのシマダボーイの活躍もあってかなり肉感的だし、音源のPANの振り分けも結構極端でかなり聞き応えがある。

トリプルファイヤー「SEXはダサい/銀行に行った日/カモン/野球選手になるために」@渋谷 TSUTAYA O-nest - YouTube

 

18.Carrie & Lowell Live / Sufjan Stevens

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2年前に出た名盤『Carrie & Lowell』の再現ライブ盤。音源はその年のベストに選ぶくらい好きだったので、ライブ盤ももちろん好んで聴いた。スフィアンが今年出したPlanetariumの内容もすごく良かったんだけど、結構長尺でダレる部分もあったのでこちらを選んだ。

このライブ盤初めて聴いた時から思ってたんだけど、スタジオアルバム完全に超えてない…?アレンジ変わって曲のダイナミクスがグッと引き上がってるのもそうなんだけど、こんなライブ生で観られたら感涙にむせぶと思う。

Sufjan Stevens - Carrie & Lowell Live (Official Film) - YouTube

 

17.Mellow Waves / Cornelius

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「あなたがいるなら」は個人的な今年のベストトラック。坂本慎太郎さんがボウイやプリンスのことを思い浮かべながら作詞したというこの曲は、ただのラブソングと取ることもできるし、逆説的に絶望を歌っているとも取れる。坂本慎太郎さんの書いた詞を、小山田圭吾さんがそっと置くように歌うこの曲が好きすぎて何度も聴いた。

その他の楽曲においても、アルバム全体通してスピーカーがすごく良く鳴る印象を受ける。各楽器のアタックが重なることなく漂うように響くので聴いてて全く疲れない。

Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here" - YouTube

 

16.Write In / Happyness

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 デビューアルバムでUSインディ好きを唸らせたHappynessの2ndアルバム。前作は結構曲ごとに影響元がハッキリしてて、元ネタ探しみたいな意味でも楽しめた。ライブ映像を観るに、今作からはメンバーが4人になって曲作りの幅がグッと広がったような印象。自分たちの影響元への愛情を擦り合わせて、今作でバンドとしての個性を確立したと思う。こういうスタンスのバンドにものすごい憧れるなぁ…。

Happyness - 'Falling Down' (Yala! Sessions) - YouTube

 

15.MODERN TIMES / PUNPEE

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2057年から過去を語るプロローグから始まる今作は、アルバムを貫く物語が魅力的すぎて、好きな漫画を何度も読み返すような楽しい気分で聴ける一枚。聴き直すたびに発見があるし、聴こえなかった音が聴こえてくる。(ブックレットも含めて)アルバム全編が遊び心に溢れた名盤だと思うが、特に「タイムマシーンにのって」以降の展開が好きすぎる。

【PUNPEE DJ&LIVE】YouTube Music Night with PUNPEE - YouTube

 

14.w/ave / NUUAMM

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青葉市子とマヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)からなるデュオの二作目。GEZANでのマヒトの歌声はかなり癖があって、人を選ぶと思うが、このユニットでは全く違う表現を味わえる。青葉市子の歌とクラシックギターの響きに、マヒトのボリューム奏法が奥行きをもって響く。やってることは至極シンプルなのに、この浮遊感はなんなんだろうな。

NUUAMM (青葉市子×マヒトゥ・ザ・ピーポー)/MAHO【MV】 - YouTube

 

13.Molly / Ratboys

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 シカゴのインディポップバンドの2nd。今作で存在を知ったんだけど、Danelectroのギターを指引きで鳴らすAudiotreeでのライブ映像を観てどハマりした。いやこのバンドかっこいい…。これ以上やるとベタだよ!?みたいなマンネリに陥る直前、サッと方向転換できるバランス感覚の良さも羨ましい!

"Elvis Is in the Freezer" by Ratboys (official video) - YouTube

 

12.Slowdive / Slowdive

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Slowdiveの新譜は間違いなく今までの最高傑作。音が良すぎる。このアルバムに関しては本当に音聴いてとしかいいようがないな...今まで聴いてきたシューゲイザーの中で類似品が見つからん境地。素晴らしかった。

Slowdive - Sugar for the Pill (Official Video) - YouTube

 

11.公衆道徳 / 公衆道

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韓国人男性の宅録プロジェクト。インタビュー記事がめちゃくちゃ面白い!音楽性も本当に独創的で、こんな素晴らしい音源が日本で公式リリースされたことに感謝...!

公衆道徳 by Botanical House | Free Listening on SoundCloud

 

10.Harmony of Difference / Kamasi Washington

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The Epicで年間ベストを総ナメしたカマシの最新EP。カマシは今作の楽曲に対位法を用いている。1〜5曲目で提示された主題が、6曲目のTruthで大きく花開く瞬間の高揚感。異なるメロディーが6曲目で美しく調和していく、そのタイトルがTruthというのがもうあまりにもかっこいい。性/人種/宗教差別問題に対して音楽が示すことのできるメッセージがこの一枚にある。

Kamasi Washington - Truth - YouTube

 

09.Passin' Thru / Charles Lloyd New Quartet

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50年代から活躍するサックスプレイヤー、Charles Lloyd率いるカルテットの最新ライブ盤。このアルバム、大きなものに包まれていく感がスゴイんですよ...。

「メッセージはシンプル、愛を突き進め。」(チャールズ・ロイド)

なんかお洒落とかかっこいいとか考える前に、心が全部分かってくれるような、そんな音楽ですごい好きだったなぁ。

Charles Lloyd New Quartet - Passin' Thru (Live/Audio) - YouTube

 

08.Tremendous Sea of Love / Passion Pit

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優しいエレクトロポップが大好きなので、このアルバムは琴線に触れまくりでした。意外と東洋的なエッセンスがあって面白いし、Postal ServiceのS.T.に並ぶくらい良いアルバムだと思ったな。You Have The Right優しすぎないか...!?

Passion Pit - You Have The Right - YouTube

 

07.Antiphon / Alfa Mist

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今年のジャズの中で、圧倒的に今を感じたのはこのアルバム。Chris DaveがYouTubePortisheadのMysteronsとかカバーしてる映像をアップしてるんだけど、その響きとこのアルバムのサウンドにすごく近しいものを感じて、勝手にトリップホップと結びつけて聴いてる。もちろんあそこまで暗い印象はないけれど、Breatheとか聴くとあながち間違いではない気もする。結構アルバム全体にがっつり空白を残すの勇気いると思うけど、その空白を相互に補い合う感覚が本当にハイセンスだと思う。Kyokiという曲で急にマクラフリン風のギターソロがぶち込まれるの、結構最初笑った記憶がある。

Alfa Mist - Keep On | 4K Mahogany Session - YouTube

 

06.Life Without Sound / Cloud Nothings

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 Cloud Nothingsの4枚目はこれまでの集大成的な仕上がりになっていて、個人的には最高傑作。一枚目のポップさ、二枚目の不穏さ、三枚目の勢いがこのアルバムには全部詰まっている。俺このアルバム聴いたとき、意味不明だけど「ホラ見ろ!」って思った。ホントに意味が分からないんだけど、このアルバム聴くと今でも「ホラ見ろ!かっけぇだろうが!」と思う。俺たちの音楽!

Cloud Nothings - "Modern Act" (Live at WFUV) - YouTube

 

05.Pure Comedy / Father John Misty

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FJMの最新作はユーモアとナルシシズムがひしひし伝わってきた。こんなエロく歌える男がいま他にいるか!?早く来日公演が観たくてウズウズしている...。とにかくPitchfolkが公開しているライブ映像を観てほしい。

Father John Misty @ Capitol Theatre | Full Set | Pitchfork Live - YouTube

 

04.Rocket / (Sandy) Alex G

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"エリオットスミスの後継"みたいなポジションをすっとばして才能を開花させた大傑作。アルバム前半でオルタナフォーク的な感じでいくのかなと思わせつつ、全編通して聴いてみたら「今のはなんだったんだ...!?」と吃驚するほど好き勝手やってる。好きなことが沢山あったら全部やってしまえばいいんだよなぁと勝手にひとりごちたのでこのアルバムは自分の中で特別なものになった。

(Sandy) Alex G - Bobby (Official Video) - YouTube

 

03.Yesterday's Gone / Loyle Carner

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今年のラップアルバムを一枚選べと言われたら、間違いなくコレ。何の前情報も入れずにジャケットに一目惚れして音源を聴いてどハマリした。このジャケ、人柄の良さがヒシヒシと伝わってくるので本当に好き。「Mean It In The Morning」みたいな所謂"チルい"曲は勿論、「Stars & Shards」や「NO CD」みたいなリフの上から畳み掛けるような曲もアツさの中に知性を感じさせてすごく良いと思う。マジで来日してくれ...!

Loyle Carner - Mean It In The Morning - YouTube

Loyle Carner - NO CD (Official Video) ft. Rebel Kleff - YouTube

 

02.Friends Again / シャムキャッツ

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 4ピースというバンドの基本形態に余分な要素を何も足さず、ここまで堂々と良い音楽を鳴らすアルバムは今年あまりなかったんじゃないかと思う。余分な要素を削いでいった結果問われるのは「それが小細工抜きで通用する普遍性を持つものかどうか」ということだと思うがこのアルバムは本当に良いんだ…。別に難しい言葉もたいして使ってないのに、人を感動させたり考えさせたりする歌詞を俺も書きたいなぁと思う。今年一番のギターポップアルバム。

シャムキャッツ - Travel Agency (Lyric Video) - YouTube

 

01.A Crow Looked At Me / Mount Eerie

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今まで少ないなりにいろんな音楽を聴いてきたけど、こんなに苦しい気持ちになるアルバムはなかったなぁ…。家にCDが届いて歌詞カードを見ながら曲を聴いた時のやるせなさは忘れることがないだろうと思う。音楽の役割って人によっても、その時のコンディションによっても変わってくると思うけど、一つ例を挙げると言外の心情を掬い上げるっていう呪術的な機能がその根本にあると思っている(すごく勝手に)。じゃあその言外の心情とやらがどんな音を用いても、詩的言語を用いても、昇華されない/救済されない場合は何ができるのか。このアルバムからは救われないとわかってても、音楽でその"救われなさ"自体を表現することを選んだ人の苦悩が伝わってくる。本当に良い作品は絶対に答えることのできないが、考え続けなきゃいけない問いをこちらに投げかけてくる。この作品は今年の不動のベストだし、今後もずっと特別な一作。

"Real Death" by Mount Eerie (from "A Crow Looked At Me") by P.W. Elverum & Sun, ltd. | Free Listening on SoundCloud

 

 

 

 

2017年 上半期の16枚

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備忘録代わりに今のところ心に残った16枚を残しておく。

左上ブロックはEMO/Indie Rockあたりの括りで4枚。

oso oso / the yunahon mixtape

Twin Peaks / Urbs in Horto

Sorority Noise / You're Not As ____ As You Think

Grandaddy / Last Place

右上はRap / Ambient / Electroあたりで4枚。

Cornelius / あなたがいるなら 7"

Bonobo / Migration

Loyle Carner / Yesterday's Gone

Shuta Hasunuma & U-Zhaan / 2 Tone

左下はオルタナフォークあたり。

(Sandy) Alex G / Rocket

公衆道徳 / 公衆道徳

Happyness / Write In

Father John Misty / Pure Comedy

右下はスロウコア/サッドコア系

Slowdive / Slowdive

Mount Eerie / A Crow Looked At Me

Peter Silberman / Impermanence

Julien Baker / Funeral Pyre 7"