健やかな休日の過ごし方

朝は9時までに起きること。録画した番組は人と一緒に見るために夜まで取っておくこと。外に出て、人間が起き、動き、生産的活動に従事しているのを見たり、聞いたりすること。自分で選んでいない音楽を聴くこと。なんでもいいから本を開くこと。ここはつまらないと思ったら、次の場所に行くこと。可能な限り、人と喋ること。その際、なるべく形式から逃れた、意味のある会話を取り交すこと。選択の余地を減らし、目の前の出来事に専念すること。白いTシャツをシワがなくなるように畳むこと。少しでも物を書いたり、言葉を発したり、脳の中で焦げている言語を洗い流すこと。日の光を浴びて、目を細めること。甘い、苦い、塩辛い、酸っぱい、を舌に感じさせること。形容詞しか用いないような、すぐ錆びる思考をしないこと。心臓に忙しい思いをさせること。ペダルを踏み込むたびに進む、という当たり前を繰り返して、どこでもいいから行ってみること。汚れた皿を洗うこと。神さまとか、死とか、考えても分からないことに対して、ニュートラルな態度を取り続けること。笑うこと。彷徨うようなギターソロを聴くこと。生活に過度な物語を求めないこと。作ること。動物のようだと思うことも、やってみること。自分にしか伝わらない比喩表現も、せっかくだから取っておくこと。

 

蛇の皮のような模様の灰色の皿、ベタな形としか形容できないコップ、砂色の冴えない布、使い終わったガムシロップの容器にも、愛を持つこと。