2019年よく聴いた音楽

U-zhaan & Ryuichi Sakamoto feat.環ROYx鎮座DOPENESSエナジー風呂」

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https://www.youtube.com/watch?v=MUaNz9M8fs8

2018年に出たU-zhaan坂本龍一による「energy flow - rework」に、環ROY鎮座DOPENESSがラップを乗せた、チルにうってつけの一曲。reworkの寂しげなトラックの印象と、静かなグルーブを活かしたリリック(まさか風呂でくるとは...)、どこを取っても耳触りの良さが圧倒的。間違いなく入浴時に一番聴いた曲だろう。とか呑気なことを書いているうちに鎮座DOPENESS大麻で逮捕されてしまった。お蔵にならないことを風呂場から祈る。

 

Florist『Emily Alone』

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https://www.youtube.com/watch?v=erT-OsHP9e8

https://www.youtube.com/watch?v=VNVaIGthZQU

女性ヴォーカリストEmily Sprague擁するFloristの3枚目。今作はそのタイトル通り、ほとんどEmilyの手によって制作された作品で、バンドから離れた環境も相まってGrouperに通ずるようなドローン/アンビエント的な響きを獲得している。アコースティックギターを基調としたもの悲しい響きの中で、悲観的になりすぎないバランス感覚の良さが何度もこの盤を廻したくなる要因だと思う。余談だが、このバンドのTiny Desk Concertは素晴らしい。未視聴の方は是非。Emilyのファッションもイケてる。

 

坂本慎太郎(feat.ゑでゐ鼓雨磨)「小舟」

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https://www.youtube.com/watch?v=vWFKeVCeJlE

坂本慎太郎、約3年ぶりの書き下ろし曲。ほとんどドラムとベースだけの骨格の上で「こんなことならなにかしとけばよかった」という後悔と、「でもそんなこと言うの今は嫌だなって思った」という逃避/抵抗は語られる。「何を見ても何もしない」大人と、「何も言わずにすべて見てる」子ども。「皆何処へ行くのか忘れてしまった」現状を認めながらも「でもこんなこと言うと今はダメだな」と選んだ沈黙。抽象性の高い歌詞が、楽曲のもつ朴訥とした雰囲気も相まって異様に鋭く迫って来る。諦観が、そのまま音楽になっている異様さと凄みを感じる一曲だった。

 

Not Wonk『Down The Valley』

NOT WONK『Down The Valley』ジャケット。NOT WONKの地元・苫小牧で加藤が自ら撮影した写真が並ぶ。

https://www.youtube.com/watch?v=dWjS92fWWJ0

アティチュード含め、今ニッポンで一番カッコいいバンドだと思う。「前回までのアルバムがべたーっとした感じだったので、音の隙間を作りたかった」というGt.Vo.加藤の言葉通り、今作ではバンド全体のダイナミクスレンジが下限にも上限もグッと拡がり、より衝動の表現が印象的になったように感じる。特にバンドの音が抑えられていることで、Gt.のピッキングニュアンスの妙、Of Realityなどの楽曲に見られるもたったビート感など、バンドの持つ引き出しの多さが露わになった。Subtle Flickerのギターがバーストする瞬間は、毎回鳥肌が立つ。アルバムのリリースパーティ、全感覚祭、SUPERCHUNKとの対バンと、彼らのライブを今年3回観たが、そのそれぞれが全く異なる意義のもと、バチバチに燃える意志を感じさせるステージで震えた。

 

Fennesz『Agora』

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https://www.youtube.com/watch?v=g0D2nnzoF0k

5年ぶりの6枚目にして、最高傑作ではなかろうか。今作は自室にて、最小限の機材を用いて録音したそうだが、フェネスの作品群の中で最もロックリスナーに対する訴求力が高い一枚だと思う。理想のシューゲイズは、一切のアタックを廃した音の流れの中にあったのかもしれない。Lovelessを静かな湖に沈めたような、瞑想にうってつけの一枚。

 

ミツメ『Ghosts』

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https://www.youtube.com/watch?v=bBBxhBRw7Nc

結成10年目、ミツメの新譜は間違いなく最高傑作。レースの外にあるような普遍性と同時代性が同居しているのは、巧みな日本語詞によるところが大きい。

ゆらめく灯り 遠くになら 綺麗なだけで 見れるのに(セダン)

見透かされた幼さが わざとらしく浮かぶのに

悪い癖は いつになれば 写る鏡の中(ディレイ)

特に暗喩がとても自然かつ巧みで、事象の裏に潜む感情、その詩的な結びつきを改めて言語化された感が凄い。曲を聴いてて一発喰らうことが多く、一々「おぉ...」とか「うぇ~?」と声が漏れてしまう。川辺素は世代屈指の作詞家なのでは?またその詩をピタリと寄せて離さないバンドアンサンブルも円熟の域に到達していると思う。

 

 

王舟『Big Fish』

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https://www.youtube.com/watch?v=e4kOG3CDHnM

王舟のBig fishは、彼の頭の中が何の制約もなく表現されているという感が強くて良い。必要最低限の音が、過不足なく鳴ることの快感に身を委ねられるアルバムは貴重。魔法使いが杖を使って自由に欲しい音出してる画が浮かぶような、音響的なユーモア性の高い一枚と思う。今作はアドバイザーとしてシャムキャッツの夏目知幸を迎えており、その経緯を語るインタビューも充実していて興味深い。

王舟と夏目知幸のフレンドシップ。アドバイスで心の花を咲かせ合う - インタビュー : CINRA.NET

 

Pedro The Lion『Phoenix

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https://www.youtube.com/watch?v=1goT7Sd4eME

新代田のカフェの二階、小さなスピーカーから流れていた『It’s Hard to Find a Friend』を初めて聴いた時、SparklehorseElliott Smith、Jeff Hansonに共通するような儚さをその音楽から感じ取り、衝撃を受けた。スマートフォンをそっとスピーカーに近づけ、Pedro The Lionというそのバンド、また彼らが既に休止状態にあることを知ったが、それからしばらくして、この2019年に彼らの15年ぶりの新作が届いた。『Phoenix』というタイトルの通り、しばらくのブランクを全く感じさせない、悲しくてどこか懐かしい楽曲。何よりも嬉しかったのは、今までの作品で一番ロックしてんじゃないのと思う、スリーピースの理想的な楽器の響きが聴けたこと。このバンドを好きで良かったと思う、最高の体験だった。

 

Hovvdy『Heavy Lifter』

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https://www.youtube.com/watch?v=VdbrHxhRIY0

前作と前々作いずれも私的年間ベストに入れたHovvdyの最新作。今作も大幅な路線変更はなく、只々箱庭感のあるインディロックを鳴らしている。メインストリームのトレンドとは全く別のところで、自分だけに寄り添ってくれる音楽のある有り難みよ。TellmeI’masingerの、Sparklehorse/Daniel Johnstonライクな音響感が堪らなく好き。今作はP-VINEからも国内盤が出たようで、国内の認知度があがり来日に繋がる展開を期待している。

 

細野晴臣『HOCHONO HOUSE』

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自身の名盤のタイトルをもじり、曲順も逆にするというお茶目な意匠は、あまりにもシリアスな自己との対話を相対化する手段だったのではないかしら、と思うような、圧倒的な音世界。中野サンプラザでのライブにおいて、「宅録でやる、と勢いで周囲に吹聴したことを後悔している。」「昔の自分との対峙はすごく気が滅入る。」とぼやいて客の笑いを誘っていた細野さんだったが、それは多分、120%の本音だっただろうと思う。過去の亡霊と向き合い、そこから新たな活路を見出だした苦悩を欠片も見せない飄々とした佇まいとユーモア。2019年はこの一枚が出た時点でお腹いっぱい、終わりでかまいません、と本気で思わされた今年のベストアルバム。

 

The Glow『AM I』

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https://www.youtube.com/watch?v=JAROwjVsiPQ

元LVL UPのメンバーの新バンドThe Glow。LVL UPの頃と変わらないローファイ感溢れる録音、メソメソした感情をなんとかギターで追い払おうとしましたが、結局無理でした、みたいな音像は好きな人には堪らないと思う。1曲が短く、良いメロディもバシバシ使い捨てる潔さも大好き。アルバム通して23分くらい。DDW所属のアーティストに外れなし。

 

Hovvdy & Lomelda『Covers』

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https://www.youtube.com/watch?v=vlXv1lrPxgw

Double Double Whammy所属の2アーティストが、互いの曲を演奏する良盤。このままアルバム一枚出してくれよ〜と思うくらいの化学反応で、9分間じゃ全然もの足りない。

 

DIIV『Deceiver』

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https://www.youtube.com/watch?v=3ohbZraF1aQ

 Captured Records謹製の万華鏡っぽいギターサウンドを捨て、一気に暗黒面に堕ちたようなどす黒ノイズが響くDIIVの新作。マイブラとスロウダイブの中間を行くような音が非常にカッコよく、何度も繰り返して聴いた。本作は急激な変化を見せたギターサウンドが良く取り沙汰されるが、コーラスワークも非常に優れていると思う。国内盤に付属してたSparklehorseのカバーも最高だった(なんならコレを一番聴いてる気がするくらい好き)。また、彼らのおかげでメンバーが急に坊主になったりすることに異常に興奮するという自分のよく分からん性癖にも気づけた。

 

Dos Monos『Dos City』

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https://www.youtube.com/watch?v=uq3J8C51bAY

次々と目まぐるしくシーンの移り変わる悪夢のようなVJに、言語中枢から漏れ出た断片を繋ぎ合わせたようなラップ。Dos MonosがBlack Midiのライブに対バンとして出演しているのを観た際、突然変異体に襲われたような衝撃が身体中を駆け巡った。3104丁目のダンスホールだの、『タクシードライバー』だの、美空ひばりだの、フィリップ・K・ディックだの、周りのものを全て飲み込みながらゆらゆら進む掴み所の無さ。膨大な参照先と、その文脈の接続のされ方、その全容を解き明かしたいという欲求が湧いてくるとても興味深い作品だった。(Black Midiのベースの人が、最近ずっとDos Monosのパーカー着ていて微笑ましい。)

 

Bill Frisell & Thomas Morgan『Epistrophy

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https://www.youtube.com/watch?v=Cery3R-Ombo

名ギタリストBill Frisellと、Thomas Morganによるライブ盤。音楽を通じた会話、などとベタな表現を用いたくなるほど、2人の音が互いに作用し曲が常に動く様子からはハッキリした阿吽の呼吸を感じる。2人のプレイはまるで達人同士の対局のように静かで緊密。イージーリスニング盤のような耳障りの良さの奥には当意即妙の連続があり、その夜しか生まれえなかっただろう一瞬が連続する悦びに浸れる一枚。このミニマルな編成は、二者のトーンを堪能するのに最適なアルバムで、眠る前によく聴いた。

 

TOOL『Fear Inoculum』

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https://www.youtube.com/watch?v=q7DfQMPmJRI

2013年のOzzfestでTOOLが来日した時は、まだ物心のついていないクソ餓鬼だったので、その有難みと事件性が全く分かっておらず、「Black Sabbathまで休憩!」とかいってステージ後方の空いているスペースで寝転がっていた。TOOLが登場したときの熱狂的としか言いようがない歓声を聴き、「Hooker With a Penis」でメイナードが唄い始めた瞬間、「とんでもないバンドだ!」と思ってステージの方に駆けていった思い出が蘇る。そんなニワカ丸出しの私でも「出るのね!?」と思ったのだから、リアルタイムで追ってた人は本当に感無量だったことと思います...。今年一番ファンの方の愛を感じたバンドはTOOLでした。本当に、本当におめでとうございます。

 

Whitney『Forever Turned Around』

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https://www.youtube.com/watch?v=6lDF38JzRUc

失礼を承知で抜かすが、Whitneyは一発当ててすぐ解散する系のバンドだと思ってた。今年出したアルバムがもはや貫禄を感じさせるほどの好盤だったことは嬉しい誤算で、こうなってくると一生続くバンドであってほしいな...などと贅沢な願いが湧いてくる。本作は前作にも増してモコモコ感が強調されたサウンドプロダクションで、聴いていて全く疲れない。軽佻浮薄な印象もない。一生聴きます。

 

Kan Sano『Ghosts Notes』

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Kan Sanoが追求するサウンドのオリジナリティ 全てを一人で作り上げた『Ghost Notes』を語る - Real Sound|リアルサウンド

Interview Kan Sano - どこにも属したくないと思ってたし、誰とも同じことをしたくないと思ってやってきた《Jazz The New Chapter for Web》|柳樂光隆|note

 Kan Sanoさんの新譜はこれまた不思議なアルバムで、引き合いに出されるブラックミュージックとの類似点は多いが、そこに芯から共鳴してるわけではなさそうな距離に独自のクールさを感じる。また、Twitterでハットの録音の仕方を教えてくれた親切さにも感動した。Toro y Moiの最新作にも通ずるクールさが全編を貫いていて最高。Youtubeの「My Girl」のコメント欄が堀北真希の妹さんへの言及ばかりとなっているが、曲がええんや曲が...!物件めっちゃお洒落な割に、電灯のスイッチが学校みたいなタイプなんか!とは思ったが。

https://www.youtube.com/watch?v=Ki4zPBnfPI4

 

Mac DeMarco『Here Comes Cowboy』

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https://www.youtube.com/watch?v=SD7BCqc1Juw

 代名詞的なキーボードの音が減退した分、シリアスな成分が増したMac DeMarcoの新譜は賛否両論分かれるところだろうが、個人的にはマックのパーソナルな部分が垣間見える秀作だったように思う。俺は前作よりも断然こっちだと思ったな。これまでの騒ぎから一旦降りて、大人としての哀愁を見せるかのようなメロウな曲群には感情移入せざるをえなかった。

 

 

Bon Iver『i,i』

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https://www.youtube.com/watch?v=wU-s_Zxv_MQ

破壊的/暴力的とまで評された『22,Million』からすると、今作『i,i』はどちらの曲にも振れていない、大人しい印象すらある、どっちつかずの一枚であるように思えるかもしれない。リリースも当初の予定より早まってしまい、忙しないままこの作品が消化されるのは勿体ない。ふり幅が途轍もなかった2ndから3rdの経緯との比較、といった文脈が排され、本当の意味で今作の評価が定まるのは数年後だと思うが、私にとっては既に忘れられない一枚。『22,Million』で得た唯一無二の音世界を下敷きに、Justin Vernonの素のままの声がありのまま響いている。間違いなく彼のキャリアにおける集大成的な作品だと思う。

 

Sunn O)))『Life Metal』

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https://www.youtube.com/watch?v=7ek3K0HhzCk

Sunn O)))の新譜も非常にドローン然としたアルバムだが、水に包まれるような感覚に陥るフェネスの『Agora』の質感とは対照的に、本作の重いギターのサステインには隙間が無いため、聴き手はその音から断絶される。ひたすら這っていく化物を観察するようなスリリングな体験。

 

Twin Peaks『Lookout Low』

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https://www.youtube.com/watch?v=BNxYFZTg2EA

シカゴのガレージロックバンドTwin Peaksの4作目。これまでの荒々しい若さが少し洗練され、同郷のWhitneyにも通ずるようなアダルトな印象を受ける仕上がり。だからと言ってそれが「丸くなっちまったなぁ」という悪印象に繋がるかというとそうではなく、むしろ一緒に年をとってくれた安心感がある。最新のライブを観るとその良さは全く失われておらず、更に安心する。

 

Mount Eerie『Lost Wisdom,Pt 2』

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https://www.youtube.com/watch?v=LsvQkuwMb0Y

Mount EerieとJulie Doironによる共作。2008年にリリースされた『Lost Wisdom』の続編として位置づけられている。Mount Eerieは『A Crow Looked At Me』(2017)や『Now Only』(2018)といった連作の中で妻の夭折に対する深い絶望を曲にしつづけている。今作の一曲目「Belief」でも以下のような歌詞が見受けられる。

僕がもっと若く無知だった頃 歩き回ってはよく空に向かって祈っていた 僕の根幹を試すような何かしらの災難をと 僕が若かった頃には

 でも 想像してみてほしい 愛する人が死ぬのを間近で注視すること そして 墓穴を見つめることが どんなものであるか

僕はその極限で暮らした そこに留まらねばならなかった。

今作の詩はその苦悩の延長線上にある(はずの)希望に手を伸ばしていて、胸がいっぱいになった。アルバム全体を通して、人生に唐突に訪れる裂け目/苦悩/喪失感に苛まれながらなんとか光の指す方へ歩を進めるPhilの姿が浮かびあがってくる。これまでの作品の経緯もあいまって、アルバムの最期に辿りつく境地には、言語化できない痛みと、ほんのわずかな希望が感じられた。

 

Lomerda『M for Empathy』

https://www.youtube.com/watch?v=CXLBnthcK60

記録しておかなければ、流れ去ってしまう記憶。声に出さなければ、溶けてしまう祈り。自分に聴こえるだけの声で、呟くように音楽を遺すという行為は美しい。11曲16分の中で、Lomerdaは何の虚飾も衒いも無く、誠実に、細く揺れる声で歌い続ける。波の立たない海のような報われなさが、異様に美しく胸を打つアルバム。

 

Wilco『Odd To Joy』

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『Bright Leaves』のデッドなドラムの鳴りを聴いた瞬間、今作はとんでもないなと確信した。ドラムの金物系がほとんど鳴らない空白を聴かせるようなサウンドとそのジャケットイメージが合致しすぎている。できれば今作のツアーの合間に見ておきたい。海外遠征も視野に入れて。

アメリカの良心、その苦悩と歓喜のプロセスウィルコ全アルバム・ディスク・ガイド | TURN

 

Vegyn『Only Diamonds Cut Diamonds』

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https://www.youtube.com/watch?v=nYdiwIDrc7c

サウスロンドンのプロデューサーVegynのデビュー作。Frank Oceanのアルバム『Endless』『Blonde』での共演でも知られている、そうなFrank OceanのBlonded 010で初めて聴いた際に、Boards of Canada/Telefon Tel Avivマナーの楽曲に一発でノックアウトされたが、アルバム全編通して素晴らしい出来だったと思う。

Vegynは本作についてさと楽観さの間のなものであり「例えば今いとすれば幸せとは言えないがたことは幸せだと思えると表ている

何を言っているのかイマイチ自信はないものの、とにかく良いアルバムだということは理解しているつもりだ。

 

Purple Mountains『Purple Mountains』

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https://www.youtube.com/watch?v=JZKMa-ByLBQ

2009年の引退以来、10年ぶりの復帰作。その復帰は本当に喜ばしいニュースだったが、David Bermanはこの世を去ってしまった。最期に残された本作は本当に素晴らしい出来だった。

 

Jeff Rosenstock『Thanks,Sorry!』

Jeff-Rostenstock-Thanks-Sorry

NYを拠点とするJeff Rosenstockのライブ盤。Bowery Ballroomで2月に行われたライブを収録している。昨年1月1日に投げ銭制でリリースされた『POST‐』からの楽曲「USA」を20秒前からカウントダウンして演奏し始める意味不明なくだり(しかも途中で数え間違えてる)から終演まで、ほとんどノンストップで29曲を駆け抜ける、最高に笑える一枚。Pitchfork Music Festival 2017での演奏を見ても分かるように、Jeff本人も、バンドメンバーもとにかく人柄が良く、ライブ会場全体を巻き込んで異常なほどハイテンションで騒ぎまくっている。その割に演奏が非常にタイトで興ざめもさせない実力の高さ!ぜひ日本に来てほしい。

 

Siamese Cats『はなたばEP』

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https://www.youtube.com/watch?v=RIP58A8EN7w

『Friends Again』『Virgin Graffiti』という傑作二枚のあとに、全く減速を感じさせない傑作EP。シャムキャッツほど信頼のおけるバンドは珍しい。夏目さんに加えて菅原さんもVo.をとるようになり、バンド全体の表現がかなり幅広くなったように思う。『Big Fish』で築いた関係性をそのままに、今作は王舟がプロデュースしている。

夏目知幸と王舟の朋友対談。お膳立てで、バンドに吹いた新しい風 - インタビュー : CINRA.NET

 

Lambchop『This(is What I Wanted to Tell You)』

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https://www.youtube.com/watch?v=u8NxdNERUGc

Lambchopの新譜は前作『Flotus』同様オートチューンを中心に据えた作風。初聴きでは「またか!?今やそのブームも去りつつあるんだぞ!?」と思ったものの、オートチューンと、密室感のある打ち込みと、温かみのある空気感との相性の良さに驚いた。lo-fi Hip Hopとも共鳴しそうな懐の深い作品で、聴けば聴くほど新たな発見がある。

 

Big Theif『Two Hands』

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今年2枚もアルバムをリリースし、そのどちらも傑作という破竹の勢いを見せたBig Theif。今まではバンドとしての音源よりも、エイドリアンのソロアルバムの方が好きだったが今年の動向には釘付けにさせられた。2枚のアルバムは甲乙つけがたいほど素晴らしかったが、結果として私はこちらのアルバムが気に入った。というのはこのパフォーマンスに度胆抜かれるくらい感銘を受けたから。5月のチケットも即座にとった。

 

Deerhunter『Why Hasn't Everything Already Disappeared?』

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https://www.youtube.com/watch?v=zG2TgCuMcjM

前作で取り入れたファンクの要素を捨てて、原点に立ち返ったDeerhunterのアルバムは、シンプルな楽曲構造の割に「どうしようもなくDeerhunterでしかない」というファンにとっては理想的なバランスを実現していたと思う。このバンドに関して、改めて語ることなど何もない。他に代えがきかない唯一無二の存在感を放ち続けてほしい。

 

3776『歳時記』

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https://www.youtube.com/watch?v=Bv-V9tD8gdc&t=122s

Twitterのタイムラインで見かけるまで全く知らなかったが、あまりの激賞されっぷりに興味を掻き立てられ、視聴するやいなやブッ飛ばされた衝撃作。元日から大晦日までの季節の移り変わりを、見事にそれぞれの月ごとに表現する手腕もさることながら、日付の読み上げと干支の循環とを楽曲の骨格として用いるアイディアとそれが見事に成立している構造は、凄すぎてもうなんか笑いしか出てこない。初めて聴いたとき、1:47からのカッティングフレーズでマジで声出た。

 

七尾旅人『Stray Dogs』

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https://www.youtube.com/watch?v=-9NwwoF0X2E

2018年の暮れに出た七尾旅人の最新作。過去作と比較して、ポップサイドが全面に出た作風で非常に聴きやすく、誤解を恐れずに言えば、今までの七尾旅人作品に付き纏っていた"覚悟をしてから聴くべき音楽"というイメージが払拭された。しかしそれは表現上の妥協や、鋭敏な感覚が鈍磨したということではない。今作で歌われる歌詞は比較的平易で、どの世代の人間にとっても受容しやすい言語の連なりである。そのような文字列から受容されるべき意味が、七尾旅人の声とギターによって、ぐわんぐわんに揺れ、どうしようもなく悲しくなる感覚。心の中で、意味の表裏が曖昧になり、物体の手前と奥が同時に見えるような感覚。誰でも使える言葉を使って、誰も触れてくれなかった魂に触れる音楽。余談だが、このアルバムを聴いた向井秀徳よく分からないメール七尾旅人に送ったくだり、本当に大好き。